AI対話型司書(検索)サービス「クジラ」、β版リリース

2024年4月15日、株式会社ゲンロンと株式会社クジラは、AIを活用した新しい検索サービス「クジラ」のβ版をリリースした。このプロジェクトは、ゲンロンとAI研究家の清水亮氏らが共同で立ち上げたもので、人文知の豊かさに対応する新しい検索体験を提供することを目指している。

クジラの特徴は、従来のキーワード検索とは異なり、ユーザーの入力を文単位で分析し、関連する内容を含む動画や著作を探し出す対話型の検索サービスである。これにより、哲学や文学の世界で見落とされがちな隠れたコンテンツを発見する手助けをする。

具体的には、ゲンロンカフェでのイベントや東浩紀の著作の内容を検索するサービス「あずまんAI」を提供する。あずまんAIは、ゲンロンカフェのイベント約1800時間分と東浩紀の著作約300万字分を読み込んで制作されている。

さらに、クジラはOpenAIのAPIを利用することも可能で、ユーザーがOpenAIと契約しAPIキーを取得することで、動画や著作から読み込んだ知識を活かした人工知能との対話を利用できる。これはRAG(Retrieval Augmented Generation)という手法によるもので、あずまんAIでは動画、著作のデータセットから類似性に応じて情報を収集し、その内容を大規模言語モデル(LLM)を利用して要約する。

クジラの開発者である清水亮氏は、新潟県長岡市出身で、6歳からプログラミングを始め、21歳からMicrosoftで上級エンジニアとして活動した経歴を持つ。近年は深層学習を活用した人工知能の開発を専門に行っている。

一方、ゲンロンの創業者である東浩紀氏は、1971年東京生まれの批評家・作家で、東京大学大学院博士課程を修了し、博士(学術)の学位を持つ。多数の著書を持ち、その中には『存在論的、郵便的』や『動物化するポストモダン』などがある。

クジラは、ゲンロンが蓄積してきた豊かな人文知へのアクセスをより多くの人々に可能にすることを目指している。