医療機関の倒産件数が過去最多のペースで推移していることが明らかになった。帝国データバンクの調査によると、2024年8月までに病院4件、診療所20件、歯科医院22件の計46件が倒産し、前年の年間件数（41件）を既に上回っている。このペースが続けば、2024年の年間倒産件数は70件前後に達する可能性があり、2000年以降で最多だった2009年（52件）を大きく上回ることはほぼ確実とみられる。

業態別では、診療所と歯科医院の倒産件数増加が顕著だ。それぞれ過去最多だった2009年の27件（診療所）と2018年の23件（歯科医院）を更新する可能性が高いという。一方、負債総額は130億400万円に上り、最大の負債額は高橋デンタルオフィス（歯科医院、千葉県）の19億円だった。

医療機関の倒産増加の背景には、コロナ禍で減少した患者数がアフターコロナでも戻らないことや、経営者の高齢化と後継者不足による事業継続の困難さがあるとみられる。特に、予防意識の高まりや医療機関の選別意識の変化などで患者数が回復しない診療所と歯科医院の経営難は深刻で、今後さらに倒産件数が増加していくことが予想される。