栗林隆氏制作、地下空間の常設アート《元気炉》誕生

地下空間に設置された常設の体験型アートインスタレーション「元気炉」が、栃木県宇都宮市大谷町で初めて公開されました。この作品は、社会や自然、日常生活や身体の「境界」をテーマにした大型のインスタレーションアートを数多く手掛ける栗林隆氏によって制作されました。

元気炉は、全てをポジティブに変えるというコンセプトのもと、地下空間に立つ巨木のような作品です。大きな窯で薬草を入れてお湯を沸かし、その蒸気をパイプで送り込むという仕組みになっています。鑑賞者は作品内に入ることができ、スチームサウナのような体験ができます。作品内は蒸気で1m先も見えない状態になり、ハーブや薬草の香りと濃密なスチームに包まれることで、全ての感覚を呼び起こし、新しい世界を堪能することができます。

栗林氏は、5年に一度ドイツで開催される世界最大の美術展「documenta15」(2022年開催)に、日本から招聘されたアーティストの一人です。彼の作品「元気炉」もこの展覧会に出展され、地下空間とアート作品が融合した壮大な展示となりました。

栗林氏は1968年生まれの長崎県出身で、93年に武蔵野美術大学を卒業後、ドイツに渡りました。2002年にクンストアカデミーデュッセルドルフでマイスターシューラーを獲得し、帰国後は日本とインドネシアを往復しながら活動しています。彼の作品は世界各地で制作・発表されており、2022年のドクメンタ15で発表した「元気炉四号基」は、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しました。

元気炉体験は、火曜日と木曜日を除く毎日、9:30〜11:30、12:30〜14:30、15:00〜17:00の3部制で行われています。体験料金は、空間体験料(入場料)が1,500円、元気炉体験(アートサウナ)が3,500円です。体験は120分制限で、予約はWEBの事前予約、当日現地予約も対応しています。ただし、体験人数には制限があります。