WWFジャパン、日本の生きた野生動物輸入実態を分析した報告書を発表
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は2026年9月18日、日本でペットとして利用される野生動物の取引動向を分析した報告書『消費に伴う責任-日本の生きた野生動物の輸入-』を発表しました。
日本における生きた野生動物の取引実態とその影響を明らかにするため、2020年から2024年の輸入データや国内市場調査、違法取引データを分析しています。調査の結果、日本が生きた野生動物の主要な輸入・消費国の一つであり、絶滅危機種や固有種をそれぞれ100種以上輸入している実態などが明らかになりました。
世界有数の野生動物消費国である日本の現状
2020年から2024年の5年間におけるワシントン条約附属書掲載種の輸入量を各国と比較したところ、日本は爬虫類で49万8,478個体(世界第3位)、両生類4万3,214個体(世界第2位)、哺乳類2万8,380個体(世界第2位)を輸入しており、世界有数の輸入国であることが示されました。
輸入される種や分類群の多様性においても世界上位に位置しており、特に爬虫類と両生類では輸入量上位5カ国の中で最多の分類群数を輸入していました。
絶滅危機種の取引と野生捕獲個体の実態
IUCNレッドリストをもとに確認した結果、日本が2020年から2024年に輸入したワシントン条約附属書掲載種には、爬虫類120種(20万4,613個体)、両生類30種(4,624個体)、鳥類23種(2,694個体)の絶滅危機種(危急種・絶滅危惧種・近絶滅種の合計)が含まれていました。
また、輸入個体の多くは飼育下繁殖由来として取引されている一方、マダガスカルやコンゴ民主共和国、ガイアナなどから輸出されたトカゲやヘビなどの一部の爬虫類は、その全てが野生で捕獲された個体でした。特にマダガスカルのカメレオンやヤモリの固有種における野生個体輸入は、種の存続への悪影響が懸念されています。
展示即売会での未記録種確認や密輸の課題
2025年に東京都内で開催された爬虫類展示即売会の調査では、販売が確認された648分類群のうち、ワシントン条約附属書掲載種でありながら取引データ上で輸入記録が確認できない種が17種見つかりました。野生由来個体が繁殖個体として輸入された可能性(いわゆるロンダリング)が疑われる販売事例も確認されています。
違法取引に関しては、2020年から2024年に税関が差し止めたワシントン条約附属書掲載種の動物密輸未遂事案が少なくとも20件、1,209個体にのぼりました。差止個体の多くは爬虫類や両生類で、商業航空貨物による大規模な持ち込みや、海外で摘発された日本向け密輸事案に国際的な密輸犯が関与していた事例も明らかになっています。

外来種定着と人獣共通感染症のリスク
輸入動物による生態系への影響も指摘されています。2020年から2024年に最も多く輸入されたクサガメ(9万7,412個体)は国内で定着して在来種との交雑が起きています。輸入量の多いボールパイソン(6万1,723個体)やグリーンイグアナ(1万1,985個体)は、海外で外来種として定着した事例があり、脱走や遺棄を通じた野外定着が懸念されています。
さらに、密輸事案の中には人獣共通感染症を媒介するリスクが高い動物も含まれており、公衆衛生上の懸念も示されました。
WWFジャパン 自然保護室 野生生物グループの成瀬唯氏は、野生動物を日本でペットとして飼育することの是非や需要の裏にある問題を再認識し、消費大国として責任ある選択と行動をとる必要があると言及しています。
調査概要
- 調査期間:2025年~2026年
- 調査対象:日本に輸入される生きた野生動物(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類等)
- 主な収集・分析データ:国連貿易統計(UN Comtrade)、財務省の貿易統計、ワシントン条約(CITES)取引データ、展示即売会の実地調査データおよびウェブ販売広告情報、IUCNレッドリスト、GRIIS、EICAT、CABI Horizon Scanning Tool、日本の税関による差止実績、Robin des Bois「On the Trail」、諸外国の法令文献調査・専門家ヒアリング
本記事は公益財団法人世界自然保護基金ジャパンの発表をもとに作成しました。
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