HPI、北九州市のグロースサポート事業に採択 介護アシスト装置の運用モデル共創へ
九州工業大学発のフィジカルAIスタートアップであるHuman Physical Intelligence株式会社は、北九州市が実施する令和8年度「企業変革・スタートアップ・グロースサポート事業」のイノベーション支援プログラム「市内企業協業」枠に採択された。同社は社会福祉法人いわき福祉会が運営する特別養護老人ホーム「やすらぎの郷牧山」と連携し、介護職員の腰部負担軽減に向けた製品と運用の仕組みづくりに取り組む。人の身体活動を支援するロボットの研究開発と現場への社会実装を進める方針だ。

介護現場の負担軽減と事業の背景
ある調査によると介護士の腰痛率は6〜7割以上とされており、労働安全上のリスクだけでなく生活面にも大きな影響を及ぼしている。こうした状況を受け、Human Physical Intelligence株式会社は介護アシスト装置の重要性に着目して開発を進めてきた。
今回の事業では、同社が持つ開発・計測・分析の知見と、北九州市内で介護福祉サービスを展開しICT機器やロボットの導入・運用に取り組む社会福祉法人いわき福祉会の実務知見を組み合わせる。介護職員と施設の双方が導入しやすい運用モデルの共創を進めるとしている。

2つのアシスト方式と「運用のユーザ共創」

介護現場における入浴介助や移乗介助など業務ごとの姿勢や動作の違いに対応するため、同社は「パッシブ型」と「アクティブ型」の2つの方式の装置を開発している。パッシブ型は電源を使わずスーツのばね力で腰部を支える軽量で扱いやすい方式で、アクティブ型はモーター制御によって動作に合わせてアシスト力を調整する高負荷作業向けの方式となる。実際の介護業務において、業務適合性や身体負担、使用感、継続利用の意向などを評価し、装着や運用の条件を検証していく。

これまでも試作機などを通じて現場の意見を取り入れる「技術のユーザ共創」を進めており、この取り組みは第44回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2026)でも発表された。本事業ではさらに進め、機器の選定から装着・使用方法までを整理し、日々の業務で継続して使える「運用のユーザ共創」に取り組むとしている。
代表取締役CEOの樋口藍は、パッシブ型とアクティブ型の双方を開発できる強みを活かし、現場に合った支援の形を使う人とともにつくりたいとし、運用の仕組みづくりを通じて介護に携わる人々の身体負担軽減と社会実装を進める姿勢を示している。
今後の展望
同社は、パッシブ型とアクティブ型を適材適所で活用できる介護現場向け運用モデルの開発を進め、その後の有償実証や製品化、他施設への展開を目指すとしている。現場で得られた身体動作や支援ニーズの知見をフィジカルAIの研究開発にも活かし、研究成果の社会実装に取り組む予定だ。
Human Physical Intelligence株式会社の概要
- 会社名:Human Physical Intelligence株式会社
- 代表者:代表取締役CEO 樋口藍
- 所在地:福岡県北九州市戸畑区仙水町1-1 九州工業大学未来テラス(事務所)/福岡県遠賀郡水巻町高尾13-2(研究所)
- 設立:2026年5月
- 事業内容:人の身体活動を支援するロボットおよびHuman Physical Intelligenceに関する研究開発・プロダクト開発
- Webサイト:https://www.humanphysical.ai/
本記事はHuman Physical Intelligence株式会社の発表をもとに作成されています。
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