富山「おわら風の盆」で県初の“祭りの推し活”導入

富山県富山市八尾町で、令和6年9月1日から3日にかけて、約300年の歴史を持つ伝統行事「越中八尾おわら風の盆」が開催される。しかし、全国の多くの祭りと同様に、担い手不足や資金不足という課題を抱えている。そこで、地域の人々やおわらを愛する人々、海外からの観光客の祭りに寄せる思いを”推し活”という形で協力してもらう新たな取り組みが行われる。

おわら風の盆行事運営委員会が主体となり、11の町それぞれを推す「越中八尾おわら風の盆」のオリジナルうちわを販売する。さらに、ファッションデザイナーのKEITA MARUYAMAデザインのオリジナル手拭いの販売や運営支援金寄付も募集する。”推し活”を導入するのは、富山県では初の試みだ。

オリジナルグッズの利益や寄付は、祭りの運営・継承のために活用される。”祭りの推し活”は、祭りの喫緊の課題である人手不足や資金不足を解消し、祭りを安心して継承していくことを目的としている。

おわら風の盆は、11の町で行われ、踊りの衣装や歌、踊りに各町の特徴がある。今回初めて、町ごとを応援するグッズとして、11の町それぞれの紋様がデザインされた「応援うちわ」が販売される。数量限定で、地元の伝統工芸「八尾和紙」を使用したうちわもある。

「越中八尾おわら風の盆」は、観光庁の補助事業として採択された”富山県の「祭りで富山を元気に!」歴史ある伝統的な祭りを未来につなげるプロジェクト事業”の対象の一つだ。本事業では、祭りの課題解消と伝統や文化の継承のために、収益化できる仕組みを構築し、長期的に祭りが開催できる循環モデルを作ることを目的としている。

毎年9月1〜3日に本祭りが実施される「おわら風の盆」は、富山市八尾町に秋の訪れを告げる行事だ。編み笠を被った男女が、三味線と胡弓、太鼓の音色と唄に合わせて踊り、情緒豊かに町を流す。江戸時代から300年余り踊り継がれ、3日間で約20万人が訪れる。