中東進出の日本企業443社、情勢注視必要

株式会社帝国データバンクが実施した調査によると、2024年8月時点で中東地域13カ国に進出している日本企業は計443社に上ることが判明した。国別では、アラブ首長国連邦(UAE)が289社で最多となり、次いでイスラエルが95社、サウジアラビアが78社と続いた。注目すべきは、イスラエルとの緊張が高まっているイランにも26社の日本企業が進出していることだ。

中東進出企業が抱える懸念としては、「為替レートの変動」と「政治・経済情勢に関する情報収集」が最も多く挙げられた。これは、同地域特有のカントリーリスクに対する警戒感の表れとみられる。実際に、イラン・イスラエル両国間の情勢悪化は中東全域へと波及しつつあり、外務省は7月31日に中東地域での事態急速悪化の可能性を指摘、8月5日にはレバノン全土に「退避勧告」を発令するなど、危険情報が発出された地域は中東13カ国中10カ国に及んでいる。

中東へ進出している日本企業への影響は不透明だが、進出地域や形態によって対応が分かれると予想される。サウジアラビアやUAEなど、現時点で治安情勢等が悪化していない国へ進出している企業では、情報収集の強化といった対応にとどまる可能性がある一方、イランおよびイスラエル、隣国のヨルダンなどでビジネスを展開する企業では、治安情勢の急速な悪化を理由に駐在員の退避や無期限の出張延期といった対応を余儀なくされるとみられる。中東地域に進出する日本企業は、今後の情勢変化を注視しつつ、適切なリスク管理と対応が求められそうだ。