酒類業界、猛暑で景況感改善

酒類業界の景況感が4カ月ぶりに改善した。帝国データバンクが発表した最新の景況レポートによると、2024年7月の酒場DIは44.4となり、前月比4.4ポイント増加。これは記録的な猛暑によるアルコール飲料の販売好調が追い風となったためだ。

コロナ禍によるライフスタイルの変化で定着した「家飲み」需要に加え、インバウンド需要の回復や夏イベントの開催も業界を後押ししている。一方で、原材料高騰による値上げや消費者の嗜好多様化など、課題も残る。

酒類大手4社の2024年12月期の連結売上高は、全社が前期比で増収の見通し。サッポロホールディングスは、ブランド体験施設のオープンや顧客接点の拡大などにより、ビールの販売数量が前年同期比10%増となった。

しかし、原材料価格の高騰によるコストアップや、第3のビールの酒税引き上げによる販売数量の伸び悩み、物流の2024年問題によるドライバー不足での輸送費高騰などが懸念材料だ。各社は2026年10月の3度目のビール減税を見据え、新ブランドや低アルコール飲料の投入、モーダルシフトなどに注力している。

日本産酒類の輸出金額は2023年に約1,344億円に達し、コロナ前の2019年から倍増。2024年1月から6月は中国経済の低迷で減少傾向だったが、ビール品目は韓国への輸出増加で前年同期比35.2%増となった。国内市場の縮小を受け、酒類メーカーは海外市場での成長を目指す。