横浜ゴムとdotData、製造業のR&D向けAIエージェントを共同開発へ
横浜ゴム株式会社と米国のdotData, Inc.は、製造業の研究開発(R&D)における技術者の仮説形成と解釈・判断を支援するAIエージェントの共同開発を開始する。実際の研究開発への本格適用に先立ち、必要となる機能や技術的な実現性を検証する取り組みとなる。両社は技術文書や技術者の知見、計測データから導き出す特徴量を組み合わせ、研究開発のコンテキストに応じた判断材料を提示する仕組みを構築する。

開発の背景とアブダクション支援の狙い
製造業のR&Dでは実験やシミュレーションを通じて多様なデータが蓄積される一方、新たな技術仮説を導くには技術者の解釈と判断が欠かせない。研究開発にはあらかじめ一つの正解があるとは限らず、観察された現象から複数の仮説を立てて検証を重ねる「アブダクション(仮説形成)」が重要な役割を担う。
一方で、人の仮説形成は過去の成功体験や思い込みによって検討範囲が狭まることもある。両社は、AIが人に代わって答えを出すのではなく、データと知識をもとに人の視野を広げることで、製造R&Dに新しい価値をもたらせると考えている。
Human-in-the-loop型AIエージェントの特徴
本開発で検証するのは、研究テーマのコンテキストを理解したうえで必要な情報を探索・整理し、人が判断に介在する「Human-in-the-loop」を前提としたAIエージェントである。具体的には以下の4つの形で技術者を支援する。
- 設計情報、実験報告書、研究報告書などの技術文書に記録された情報や、技術者の知見を踏まえた検討の支援
- dotData社の特徴量自動設計技術により、計測データや実験データから得られる特徴量を新たな仮説を考えるための判断材料として提示
- 材料、設計、解析、生産、評価といった異なる専門的観点からのコメントや、仮説を検証するための問い・リスクの提示
- 技術者が提示情報をもとに仮説検証を行い、対話を通じて研究開発サイクルを進めるとともに、最終的な解釈・判断は人が実施
また、対話を通じて技術者が分析の目的や着目点を伝えることで、特徴量自動設計の実行に必要な操作や設定を支援する仕組みも検証し、技術者自身がデータから特徴量を探索できる環境を目指す。
HAICoLabの実践からAIエージェントへ発展
神奈川県平塚市に本社を置く横浜ゴム(代表取締役会長 兼 CEO:山石昌孝)は、人とAIとの協奏を目指すAI活用フレームワーク「HAICoLab(ハイコラボ)」を推進している。同社は2020年から、米国カリフォルニア州に本社を置くdotData社(CEO:藤巻遼平)の「dotData」を活用し、タイヤ設計やゴム混合プロセスなどで特徴量を技術者が多角的に解釈する取り組みを進めてきた。
今回の共同開発はこれをAIエージェントへと発展させるもので、技術者が提示された情報を自らの専門知識と照らし合わせて解釈・判断することで、思考・判断の枠組みである「スキーマ」を広げることも狙う。両社は研究開発プロセスの高度化と人材の成長を同時に進め、製造R&Dにおける協働モデルの確立を目指す。
横浜ゴム株式会社執行役員 研究先行開発本部長の藤田 資二氏は、AIエージェントの活用により技術者が経験の枠を超えた視点に触れ、より多面的に仮説を検討できるようになると述べ、開発を通じた研究開発の高度化と技術者の成長に期待を寄せている。また、dotData, Inc. CEOの藤巻遼平氏は、長年データ活用を実践してきた横浜ゴムとともに、専門性の高い業務領域におけるAI活用の方式を確立していくとしている。
- 横浜ゴム株式会社 経営企画部 広報室(E-mail:yinfo@y-yokohama.com、会社概要:https://www.y-yokohama.com/profile/company/)
- dotData, Inc.(E-mail:pr-j@dotdata.com、会社概要:https://jp.dotdata.com/our-company/)
本記事は横浜ゴム株式会社およびdotData, Inc.の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



