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暗所で光合成装置が再編成される仕組みを解明 静岡大学の研究グループ

静岡大学大学院総合科学技術研究科の豊泉香乃(修士1年生)と長尾遼准教授らの研究グループは、シアノバクテリア Leptolyngbya boryanaの暗所適応株 dg211を用い、暗所従属栄養条件で光合成装置と励起エネルギー伝達がどのように変化するかを明らかにしました。暗所で光合成によるエネルギー変換が生育に必須でない環境では、光合成装置が一様に失われるのではなく、光化学系II(PSII)が選択的に強く減少し、光エネルギーの流れそのものが再編成されることが示されました。本研究成果は、2026年9月9日に国際雑誌「The Journal of Physical Chemistry B」に掲載されました。

暗所適応株を用いた光合成装置の解析

酸素発生型光合成を行うシアノバクテリアの一部は、グルコースなどの有機物があれば暗所でも従属栄養的に生育できます。本研究では、Leptolyngbya boryanaの暗所適応株 dg211に着目し、光条件で生育した野生株(WT-light)とdg211(dg211-light)、および暗所で生育したdg211(dg211-dark)を比較しました。タンパク質解析、色素分析、吸収分光、77 K定常蛍光、時間分解蛍光解析を組み合わせ、暗所従属栄養条件における光合成の励起エネルギー伝達ネットワークの組み替わりについて調べています。

光化学系IIの選択的な減少とエネルギー伝達の変化

解析の結果、dg211-darkではクロロフィルaやフィコビリソーム(PBS)に由来する特徴が保たれていた一方、β-カロテンは検出限界以下となりました。タンパク質レベルでは、PSIIの中心タンパク質D1が著しく減少していたものの、光化学系I(PSI)の中心タンパク質PsaA/Bは検出されました。

蛍光解析においては、WT-lightで観測されたPSII反応中心の電荷再結合に由来する約22ナノ秒の蛍光(693 nm付近)がdg211-darkでは消失し、729–730 nm付近のPSIに由来する長波長蛍光は残っていました。また、77 K定常蛍光ではPBSに関連する663–693 nm領域の蛍光が相対的に増大し、1.4ナノ秒および4.0ナノ秒の蛍光減衰関連スペクトルでは687 nm付近に顕著な正のバンドが現れました。これらは、主要なエネルギー受容先であるPSIIが減少したことで、PBSに励起エネルギーが長時間保持される状態が生じたためと解釈されています。

環境に応じた光合成装置の柔軟性を理解する手がかりに

静岡大学農学部の長尾遼准教授は、光を使わない環境で光合成装置がどのように変化するのかを調べた本研究について、光合成生物が環境に応じて光合成装置をどのように作り替えるのかという柔軟性を理解する手がかりになると期待を示しています。

論文情報

  • 掲載誌名:The Journal of Physical Chemistry B
  • 論文タイトル:Altered excitation-energy transfer in the dark-adapted Leptolyngbya boryana variant dg211
  • 著者:Kano N. Toyoizumi, Yuichi Fujita, Seiji Akimoto, Ryo Nagao
  • DOI:https://doi.org/10.1021/acs.jpcb.6c03891

本記事は静岡大学の発表をもとに作成しています。

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