新潟県佐渡市とAirbnbが連携協定を締結、二地域居住と長期滞在型観光を推進
世界最大級の宿泊予約プラットフォームであるAirbnbの日本法人と新潟県佐渡市は2024年8月8日、「二地域居住」及び交流型観光による「長期滞在」の推進を目的とした連携協定を締結した。この協定は、産業振興の基盤となる地域コミュニティの育成を通じて、「地域の活力向上と賑わいあふれるまちづくり」を目指すものだ。
観光庁の調査によると、2023年の外国人延べ宿泊者数は約1.1億人となり、コロナ禍前の2019年とほぼ同水準まで回復した。また、日本人の国内延べ旅行者数も2021年以降回復傾向にあり、2023年は4億9,758万人(2019年比15.2%減、前年比19.1%増)となった。しかし、旅行先の多くは大都市圏に集中しており、旅行者の地方分散が課題となっている。
持続可能な地域形成のためには、地域づくりの担い手となる人材確保が不可欠だ。そのため、都市住民が農山漁村などの地域にも同時に生活拠点を持つ「二地域居住」などの多様なライフスタイルを促進し、地域への人の誘致・移動を図ることが求められている。
Airbnbの宿泊施設では、ホストがゲストに地元の情報を提供することで、訪れたゲストが地元コミュニティや住民と交流し、暮らすような旅を楽しめるのが特徴だ。このような体験型旅行を通じて関係人口の創出が促進されるほか、空き家や空き店舗などを活用した宿泊施設の開業により、地域の経済的機会の創出にも役立つと考えられる。
本協定では、佐渡市内の空き家を活用した拠点づくりや、地域コミュニティの育成と人材確保の強化を通じて、「二地域居住」を推進する。また、2024年7月27日に世界文化遺産に登録された「佐渡島の金山」を有する佐渡市では、今後ますます観光客の増加が見込まれる。長期滞在者向けの受け入れ体制を強化し、交流型ワーケーションなどで連携することで、「長期滞在」の需要創出を目指す。
具体的な活動としては、2024年10月から佐渡市内の数箇所で空き家活用セミナーを開始し、11月からは空き家の利活用・ワーケーションを活用した地域コミュニティ作りを開始する予定だ。
佐渡市では少子高齢化や過疎化により人口減少が進んでおり、特に生産年齢人口の確保が課題となっている。「起業成功率No.1の島」を掲げ、ビジネスコンテストの開催やインキュベーションセンター・コワーキングスペースの整備等により、若い起業家を中心に企業誘致等に取り組んでいる。今後は、進出企業の定着をはじめ、多様な人材が活躍できる島づくりを目指して、「暮らす」と「働く」をセットにした取り組みとともに、「二地域居住」や「長期滞在」による関係人口拡大に取り組んでいく方針だ。