日立とSPACECOOL、社会インフラの熱対策で放射冷却技術の実証を開始
株式会社日立製作所とSPACECOOL株式会社は、気候変動に伴う気温上昇に対し、電力設備やデータセンターなどの社会インフラ設備を安定的に運用するため、冷却のためのエネルギーを必要としない放射冷却技術の適用実証を開始します。
日立が社会インフラ分野で培ってきた設備の設計・運用・保守に関する知見と、SPACECOOLが有する放射冷却素材技術を組み合わせ、実環境における温度上昇抑制効果に加え、設備特性や設置環境、運用・保守条件を踏まえた適用性を検証します。両社は社会インフラ設備への導入に必要な適用・運用モデルの構築を進め、重要インフラの安定運用と省エネルギー化を両立する新たな熱対策の確立に取り組みます。
気候変動に伴う熱対策の重要性と実証の背景
近年、気候変動に伴う気温上昇により、電力設備やデータセンター、再生可能エネルギー関連設備などでは、設備温度の上昇が性能低下や故障リスクの増加、冷却コストの増加につながることから、熱対策の重要性が高まっています。特に、直射日光の影響を受ける屋外設備や、冷却設備の追加が難しい設置環境では、設備の安定運用と省エネルギー化を両立できる新たな対策が求められていました。
従来の冷却技術は追加のエネルギー消費を伴う場合が多く、熱対策の強化がさらなるエネルギー消費につながる課題がありました。そのため、設備単体の冷却性能向上だけでなく、熱を含めたエネルギー利用全体の効率化に貢献できる技術への期待が寄せられています。こうした背景から、両社は社会インフラ分野における新たな熱対策の実現に向けた実証を進めることになりました。
SPACECOOLの放射冷却技術は、太陽光を反射しつつ赤外線を宇宙空間へ放射することで、エネルギーを追加せずに外気温を下回る表面温度を実現できるよう設計された素材技術です。これにより、空調負荷の低減や設備の長寿命化、エネルギーコストの削減への寄与が期待されています。

実証内容と適用・運用モデルの検討
今回の取り組みでは、日立グループが設計・製造・運用などに関わる社会インフラ設備を対象に、放射冷却技術の適用実証を段階的に進めます。電力設備やデータセンター関連設備、直射日光を受ける屋外設備などを対象に、実環境における温度上昇抑制効果とともに、設備性能や信頼性の向上への寄与を評価し、設備の特性や設置環境に応じた適用条件を明確化します。
あわせて、実証データに基づき、社会インフラ分野における放射冷却技術の適用・運用モデルを検討します。設備特性や運用条件に加え、地域ごとに異なる気候条件や設置環境も考慮した適用方法を検討するとともに、保守を含めた導入・運用モデルを整理し、幅広い社会インフラ設備への展開をめざします。
今後の展望とエネルギーソリューション創出
日立とSPACECOOLは、実証で得られるデータと知見を活用し、電力設備、データセンター関連設備、再生可能エネルギー関連設備など、幅広い社会インフラ分野への放射冷却技術の適用拡大をめざします。
日立は、電力・熱・CO2・データを横断的に統合し、社会全体の最適化と意思決定支援をめざす「エネルギーNEXUS」の取り組みを進めており、今回の実証をその第一歩として位置付けています。実証で得られる知見や運用ノウハウをデジタル化・資産化し、Lumada 3.0を通じて重要インフラの信頼性向上とエネルギー利用の最適化に貢献していく方針です。将来的には、2030年に新設予定の次世代型社会インフラ研究の中核拠点「調和の丘」においても研究・実証を発展させ、パッシブ冷却を含む新たなエネルギーソリューションの創出をめざすとしています。
本記事は株式会社日立製作所およびSPACECOOL株式会社の発表をもとに作成しました。
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