甲子園が銀傘をアルプススタンドまで拡張へ、高校野球文化の継承図る

阪神電気鉄道株式会社は2024年8月2日、阪神甲子園球場の銀傘(内野の一部座席を覆う屋根)をアルプススタンドまで拡張する計画を発表した。この計画は、高校野球の聖地として阪神甲子園球場が進化を続けることで、高校野球文化の継承を図るものだという。

阪神甲子園球場は1924年に開業し、2024年8月1日に開場100周年を迎えた。銀傘拡張工事は2024年11月に着工し、2028年3月の竣工を予定している。拡張後の銀傘面積は、既存の内野銀傘8,184平方メートルに加え、3,328平方メートルが追加され、合計11,512平方メートルとなる。

銀傘の材質はガルバリウム鋼板で、建屋は鉄骨造の地上6階建て(高さ30.6m)となる。1階はピロティ(通路)、2階は配管等の設備スペース、3階は飲食売店、グッズショップ、コンコース、4階は厨房や事務所等のバックオフィス、5階と6階は観覧エリアを予定している。工事費は約150億円で、施工会社は株式会社大林組が担当する。

完成イメージ
完成イメージ

戦前にアルプススタンドまで覆っていた「大鉄傘」は、太平洋戦争に伴う金属供出ですべて取り外されたが、戦後「銀傘」として復活した。今回の拡張計画実施後には「平和の象徴」として完全復活することになる。

阪神電気鉄道株式会社は、「歴史と伝統の継承」を基本にしながら、太陽光パネルの設置や外壁におけるリサイクル素材の活用等、銀傘拡張においても「サステナビリティ」の観点から環境負荷の低減に取り組むとしている。