SDGsに積極的な企業が過去最高の54.5%に、人材確保も狙う

持続可能な開発目標(SDGs)への企業の意識が高まっている。帝国データバンクが2024年6月に実施した調査によると、SDGsに積極的な企業は54.5%に上り、調査開始以来最高水準となった。SDGsへの取り組みは、社会課題の解決だけでなく、人材確保や企業イメージの向上にもつながっているようだ。

調査結果によると、SDGsの意味や重要性を理解し、取り組んでいる企業は29.7%で前年より2.3ポイント上昇。取り組みたいと思っている企業も24.8%あり、合わせて54.5%の企業がSDGsに積極的であることが分かった。企業からは「取り組まないと人員確保が難しい」「取引先からの取り組み状況の調査が増えている」といった声が聞かれ、SDGsへの対応が経営上の重要課題となりつつある。

企業規模別にみると、大企業ではSDGsに積極的な割合が71.8%に達した一方、中小企業では51.2%、小規模企業では42.9%にとどまった。中小企業からは「目先の問題解決で手一杯」といった厳しい声も上がっている。

現在、企業が力を入れているSDGs目標は「働きがいも経済成長も」がトップで、次いで「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」が続いた。今後最も力を入れたい目標も「働きがいも経済成長も」が11.8%で首位だった。

SDGsに取り組んでいる企業の約7割が効果を実感しており、「企業イメージの向上」(39.8%)や「従業員のモチベーションの向上」(32.9%)といった非財務面での企業価値向上につながっている。一部では売上増加や新事業立ち上げなど、ビジネスチャンスにもなっているようだ。

一方、SDGsと関連の深いダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への取り組みは、4社に1社が積極的という結果だった。中小企業を中心に、言葉の意味や具体的な取り組み方が分からないという声も多く、情報発信の強化や相談窓口の設置、補助金制度の充実など、公的支援の拡充が求められている。