Appier、AIの限界認識と推論言語の影響を検証した研究論文2本を発表
Appier Group株式会社のAI研究チームは、エージェント型AIに関する2本の研究論文を発表しました。論文では、大規模言語モデル(LLM)が選択肢に正解がない場合に自らの限界を認識できるか、推論に用いる言語が多言語環境における性能や安全性、文化理解にどのような影響を及ぼすかを検証しています。これらの研究は、ビジネスにおけるAIの信頼性とグローバル展開を評価するための新たな視点を提示しています。

正解が存在しない場合の認識能力を検証
エージェント型AIが検索拡張生成(Retrieval-Augmented Generation:RAG)などを通じてタスクを遂行する際、十分な情報がない場合に不足を認識できるかは意思決定の信頼性に影響します。
Appier AI研究チームは、論文「None of the Above, Less of the Right: Parallel Patterns between Humans and LLMs on Multi-Choice Questions Answering」(邦題:「『どれでもない』が正解になると正答率が低下――選択式問題における人間とLLMの類似傾向」)において、「どれでもない」(None of the Above:NA)が正解となる選択式問題を用い、規模の異なる主要なLLM 28種を検証しました。その結果、「どれでもない」が正解となる場合、モデルの正答率は全体として30~50%低下することが明らかになりました。
チームが教師ありファインチューニング(Supervised Fine-Tuning:SFT)と直接選好最適化(Direct Preference Optimization:DPO)を用いて訓練を行ったところ、DPOによってモデルが「正解なし」の問題を識別する精度が約30ポイント引き上げられることが確認されました。
研究論文「Language Matters: How Do Multilingual Input and Reasoning Paths Affect Large Reasoning Models?」(邦題:「言語が思考を決める ── 多言語入力と推論経路は大規模推論モデルにどう影響するか」)では、大規模推論モデル(Large Reasoning Models、LRMs)が思考に用いる言語の影響を検証しました。モデルは異なる言語の質問に対しても英語などの高リソース言語に依存して推論する傾向があり、一部のモデルでは内部推論の言語と最終的な回答言語が一致しない割合が9割を超えることも判明しました。
「テキストプレフィル法(Text Prefilling)」を用いて思考言語を指定して検証した結果、英語などの高リソース言語は数学や知識系タスクで有利に働く一方、文化理解タスクや有害・違法な質問を検知・遮断する安全性テストでは現地言語による推論が有効であることが確認されました。この結果は、タスクや文化的背景に応じて推論言語を動的に選択する「推論言語ルーティング(Reasoning-Language Routing)」の可能性を示しています。
研究成果の製品応用と今後の展望
Appier共同創業者 兼 代表取締役CEOのチハン・ユーは、AIが単に質問に答えるだけでなく、情報の不足を認識して行動を調整し、適切な推論方法を選べるかを評価する必要があるとし、これらの能力がエージェント型AIを信頼性の高い意思決定システムへ成長させる一助になると述べています。
今後、Appier AI研究チームは先端研究を深化させるとともに、研究成果を広告クラウド、パーソナライゼーションクラウド、データクラウドの三大製品ラインへ応用していく方針です。
Appier Group株式会社の概要
- 設立:2012年
- 代表者:代表取締役CEO チハン・ユー
- 本社:東京都港区
- 上場市場:東証プライム: 4180
- 拠点:アジア太平洋地域、米国、欧州に17の拠点
本記事はAppier Group株式会社の発表をもとに作成されました。
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