Dellows News

ロート製薬、アゼライン酸を中和せず溶解する技術を開発 低濃度製剤で臨床評価

ロート製薬株式会社は、アゼライン酸(以下、AZA)の有効性を生かしながら刺激や使用感に配慮した製剤の実現を目指し、AZAを中和することなく製剤中に溶解させる技術を開発しました。この技術を用いたAZA3%配合溶解型セラムと従来のAZA20%配合分散型クリームについて12週間の臨床試験を実施したところ、同程度の総皮疹数減少と使用初期の刺激感低減が確認されました。本研究内容は、2026年8月1日に開催された第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会において発表されました。

AZAは尋常性痤瘡に対する選択肢の一つとして推奨されている成分であり、角化正常化作用、抗菌作用、抗酸化作用、チロシナーゼ活性阻害作用、抗炎症作用などが報告されています。一方で水にも油にも溶けにくい難溶性の成分であるため、従来の高濃度AZA製剤では微細な粒子としてクリーム中に分散させる方法が広く用いられてきました。

AZAは弱酸性で中和度が高くなるほど皮膚への浸透性が低下する一方、中和すると溶解しやすくなるという性質があります。ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:瀬木英俊)は、AZAを中和することなく製剤中に完全溶解させる技術を開発し、低濃度でありながら皮膚への効率的な浸透特性や殺菌作用を生かしたセラム製剤を実現しました。

臨床試験における皮疹減少と使用感の評価

軽症~中等症の尋常性痤瘡を有する28名を対象に、左右の半顔へAZA20%分散型クリームまたはAZA3%溶解型セラムを1日2回使用する12週間の評価者盲検無作為化左右比較試験が実施されました。

  • 総皮疹数の推移:AZA3%溶解型セラムはAZA20%分散型クリームと同程度まで総皮疹数が減少し、4週後の総皮疹数の変化率ではAZA20%分散型クリームと比較してより大きな減少が認められました。
  • 安全性と刺激感:12週間の試験期間中に試験品との因果関係が認められた副作用や中止・脱落例はありませんでした。2週間使用時点で「かゆみを感じなかった」と回答した割合は23.0ポイント、「刺激感を感じなかった」と回答した割合は18.4ポイント、AZA3%溶解型セラムの方が高くなりました。

浸透効率の向上とアクネ菌への殺菌効果

ヒト皮膚を用いた浸透性試験では、製剤塗布24時間後に角質層以降へ移行したAZAの割合を測定した結果、AZA3%溶解型セラムはAZA20%分散型クリームの約4倍の浸透効率を示しました。

また、アクネ菌に対する殺菌力を評価した試験において、AZA3%溶解型セラムは20%分散型クリームと同等の殺菌効果を示しました。これにより、低濃度でありながら溶解状態で配合することで成分の特性を生かせることが示唆されました。

今後の展望

今回の研究により、成分を高濃度で配合するだけでなく、状態をコントロールして浸透効率の向上と刺激の低減を両立する製剤設計の可能性が見出されました。ロート製薬株式会社は今後も、成分が持つ力を引き出しながら日々使い続けやすい製剤の開発を目指して研究を進めるとしています。

本記事はロート製薬株式会社の発表をもとに作成されました。

アクセスランキング

今日

1週間