ANRis、WUVやJSTから総額約2億2,000万円調達 がん治療薬開発へ
株式会社ANRisは、早稲田大学ベンチャーズ株式会社(WUV)および国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの出資により、総額約2億2,000万円の資金調達を実施しました。

同社は調達した資金を活用し、独自のsiRNA配列設計技術「SNPD-siRNA」を基盤とする創薬研究を進めます。特にKRAS変異がんを対象とした治療薬の研究開発と事業基盤の強化を推進する方針です。
独自のsiRNA配列設計技術「SNPD-siRNA」の特徴と開発背景
siRNA医薬品は、細胞に備わるRNA干渉の仕組みを利用して疾患に関係する特定遺伝子の発現を抑制するモダリティで、従来の低分子医薬品や抗体医薬品では難しかった遺伝子を標的化できる手段として世界的に注目されています。しかし、がんや遺伝性疾患に関わる一塩基変異(SNV)において、既存技術では病気の原因となる変異型遺伝子と正常な生理機能に必要な野生型遺伝子を正確に区別して抑制することが困難でした。
これに対し、株式会社ANRisの基盤技術である「SNPD-siRNA(Single Nucleotide Polymorphism-Distinguishable siRNA)」は、野生型遺伝子と変異型遺伝子のわずか一塩基の違いを識別し、変異型遺伝子の発現を選択的に抑制する配列設計技術です。
株式会社ANRisは、東京科学大学 特任教授の程 久美子氏による東京大学在籍時の研究成果を基盤として2023年に設立されました。同技術には、JSTの研究成果展開事業「大学発新産業創出プログラム(START)」プロジェクト推進型 起業実証支援の研究開発課題(研究代表者:程 久美子、2019年度採択)の成果が活用されています。基盤特許は日本に加えて米国でも取得しています。

調達資金の使途とKRAS変異がんへの展開
株式会社ANRisは、プラットフォーム技術としての展開可能性を維持しつつ、当面の重点開発領域として肺がん、膵がん、大腸がんなどで認められるKRAS変異がんを対象とした研究開発を加速させます。SNPD-siRNAを用いて変異型KRASの発現を選択的に抑制し、新たな治療選択肢の創出を目指すとしています。
調達した資金は、主に以下の用途に充てられる予定です。
- KRAS変異がんを対象とする医薬品候補の創製および非臨床研究
- siRNAを標的組織へ届ける送達技術(DDS)および製剤の最適化
- 研究開発人材の採用ならびに外部研究機関・CROとの連携強化
- 知的財産基盤の強化ならびに製薬企業等との共同研究・事業提携の推進
代表取締役CEOの川村 渉氏は、出資への感謝を述べるとともに、今回の資金調達を重要な一歩としてKRAS変異がんを対象とする研究開発を着実に進め、適用可能性を広げて新たな治療選択肢の創出につなげたい旨のコメントを寄せています。
出資元および株式会社ANRisの概要
今回の出資元である早稲田大学ベンチャーズ株式会社(WUV)は、学問の知見や研究成果を社会実装することを目的に設立されたディープテック分野特化のベンチャーキャピタルです。また、JSTの「出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)」は、研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業に対して出資や人的・技術的援助を行う制度です。
株式会社ANRisの概要は以下の通りです。
- 会社名:株式会社ANRis
- 設立:2023年9月
- 所在地:東京都文京区湯島1丁目5番45号 東京科学大学8号館2階 TIP-RCCシェアラボ内
- 代表者:代表取締役CEO 川村 渉
- 事業内容:核酸医薬品の研究開発
- URL:https://anris.jp/
本記事は株式会社ANRisの発表をもとに作成しました。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



