IHIとISCE²、持続可能な航空燃料合成技術開発のための小型試験装置設置を決定

株式会社IHIとシンガポール科学技術研究庁傘下の研究機関であるISCE²は、持続可能な航空燃料(SAF)の合成技術開発において、水素とCO2からSAFの原料となる液体炭化水素を合成する一連のプロセスを検証するための小型試験装置の設置を決定した。

国際民間航空機関(ICAO)が2050年までに航空機のCO2排出を実質ゼロにする長期目標を掲げる中、従来の化石由来の航空燃料の多くがSAFに置き換わることが想定されている。IHIとISCE²は2022年にSAF合成の新触媒を開発し、世界トップレベルの性能を持つことを確認している。

新たに設置する試験装置では、触媒の性能や耐久性評価、合成プラントの運転条件の最適化、反応器データの取得などを行い、プロセス全体の検証を進める。9月までにISCE²敷地内に幅5.7m×奥行3.5m×高さ4.4mの試験装置を設置し、1日当たり100kgのCO2を注入する小型スケールでの試験を年内に開始する予定だ。

IHIは、環境にやさしく経済的な航空機におけるカーボンニュートラル実現に向け、効率的かつ安定的なSAF製造技術の早期確立を目指している。

※ISCE²:シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)傘下の研究機関で、低炭素技術、カーボンライフサイクルアセスメント、持続可能な材料、グリーン製造プロセスなどの分野で研究開発を進めている。

※SAF(Sustainable Aviation Fuel):原料の生産・収集から製造、燃焼までのライフサイクルでCO₂排出量を従来燃料より大幅に削減し、既存のインフラをそのまま活用できる航空燃料。