衛星通信3.0へ挑戦、インターステラが総務省の「電波資源拡大の研究開発」受託

インターステラテクノロジズ株式会社は、2024年6月に総務省の「電波資源拡大の研究開発」に採択され、岩手大学、大阪大学、東京工業大学、奈良先端科学技術大学院大学、新潟大学の5大学と共同で研究開発を実施することを発表した。

同社は、宇宙輸送と宇宙利用を通じて地球の課題解決を目指す宇宙の総合インフラ会社。今回受託した研究開発課題は「低軌道衛星と地上端末直接通信における周波数共用を可能とするナローマルチビーム形成技術の研究開発」で、受託金額は初年度上限2.7億円、期間は3か年となる。

近年、地上の通信インフラでカバーできない地域における通信手段として、多数の衛星を地球低軌道上に打ち上げて一体的に運用する「衛星コンステレーション」による高速衛星通信が注目を集めている。本研究は、多数の超超小型衛星によるフォーメーションフライト(編隊飛行)全体を大型のアンテナとして機能させるための、無線系や衛星間情報処理系の基礎技術確立を目的としている。

これにより、現在の衛星通信では実現できない、地上通信網と同等の高速大容量および多数同時接続を達成し、限られた電波資源の有効利用に資するとともに、同社が掲げる「衛星通信3.0」の実現を目指す。

インターステラテクノロジズの代表取締役CEOである稲川貴大氏は、「衛星通信市場は今後の爆発的拡大が予想されており、我々の強みであるロケット事業とのシナジーを最大化するうえで最適な事業領域です。通信領域における日本のプレゼンス向上に貢献できるよう全力を尽くします」とコメントしている。

また、共同研究に参画する5大学の教授らも、先進的かつ挑戦的なプロジェクトに参画できることへの喜びと、各分野の専門知識を活かして課題解決に取り組む決意を述べている。

インターステラテクノロジズは、本研究を通じて人工衛星開発を加速させ、ロケット会社が人工衛星事業を有するという垂直統合の強みをより一層発揮していく方針だ。