広島県での救急アプリ活用研究、TXP Medicalらの論文が国際学術誌に掲載
TXP Medical株式会社のリサーチチームは、広島県救急搬送支援システム実証実験ワーキンググループおよび広島大学の医師らと共同で実施した、救急医療情報システム「NSER mobile」に関する研究論文を発表した。本研究成果は2026年8月26日、査読付き国際学術誌『Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine』に掲載された。救急現場におけるデジタルプラットフォームを活用したリアルタイムデータ収集の実現可能性や、地域集団ベースでの救急搬送データの特徴を学術的に示している。
研究の背景と実証実験の概要
近年、日本国内の救急搬送需要は増加傾向にあり、2023年には救急車の出動件数が全国で過去最多の760万件を記録した。一方で救急現場では紙ベースの記録や電話連絡への依存が続いており、病院との調整業務の非効率化や受け入れ決定の遅れが課題となっている。
こうした状況を受け、広島県では第一期実証実験として2023年10月、東広島市を除く県内全域の救急隊に「NSER mobile」を導入した。本研究は、2023年10月から2024年12月までの期間に同アプリを用いて収集された救急搬送データについて、病院前の状況を記述的に分析したものである。
14万件超の救急搬送データから得られた知見
分析対象となった期間中、アプリ導入地域で報告された救急搬送151,303件のうち、97%にあたる147,213件で本アプリが使用された。
分析対象症例の内訳と主な結果は以下の通りである。
- 搬送内訳:通常の救急搬送が129,855件、心肺停止モードでの搬送が1,988件、病院間転院搬送が15,370件
- 患者年齢:通常の救急搬送患者の年齢中央値は75歳(65〜84歳が39%、85歳以上が26%)
- 病院選定:66%のケースで最初に要請した病院に受け入れられ、1病院あたりの交渉時間中央値は5.2分
- 機能利用:文字入力を補助する光学式文字認識(OCR)機能は全体の74%のケースで使用
本研究の意義と今後の展望
本研究を通じて、県単位の大規模な範囲において「NSER mobile」が標準化された病院前データをリアルタイムに収集する基盤として機能することが実証された。TXP Medicalは、広島県における第二期実証実験の支援を継続するとともに、本プロジェクトで得られたデータ共有基盤をもとに救急搬送業務の効率化と高度化を目指すとしている。
NSER mobileおよびTXP Medicalの概要
「NSER mobile」は、救急隊が現場で収集する患者情報(バイタルサイン、既往歴、お薬手帳など)をスマートフォンやタブレットからOCRや音声入力を用いてデータ化し、医療機関にリアルタイムで共有するシステムである。
TXP Medical株式会社の概要は以下の通りである。

- 代表取締役:園生智弘
- 設立:2017年8月28日
- 事業内容:急性期医療データプラットフォーム「NEXT Stageシリーズ」の開発・提供、急性期医療AI技術の開発・提供および臨床研究支援事業、リアルワールドデータサービスなど
- 公式サイト:https://txpmedical.jp/

本記事はTXP Medical株式会社の発表をもとに作成。
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