東京海洋大とオンチップ社、微小液滴技術でエビ病原菌の拮抗細菌18株を単離
バイオ計測装置メーカーの株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズは、東京海洋大学大学院の湯浅壱氏や同大学の小祝敬一郎准教授らの研究グループと共同で、クルマエビ類の重要病原細菌「Vibrio harveyi」の増殖を抑える拮抗細菌を養殖環境から迅速に探索する技術を開発しました。微小液滴分取装置「On-chip Droplet Selector」を用いて約90万個の液滴を計測・選別し、クルマエビ飼育水から18株の拮抗細菌候補の単離に成功しています。本成果は、2026年9月2日に国際学術誌「Scientific Reports」オンライン版で公開されます。

微小液滴と蛍光を利用したスクリーニング手法

クルマエビ類の養殖では細菌性感染症による被害が課題となっており、薬剤の多用による耐性菌出現のリスクや、獲得免疫を持たないエビ類にはワクチンが効きにくい点から、病原細菌の増殖を抑える拮抗細菌の活用が注目されています。しかし、従来の寒天培地を用いた手法では手作業が多く、環境中にわずかしか存在しない細菌が見逃されやすいという限界がありました。




今回の研究では、緑色蛍光タンパク質(GFP)を組み込んで常に緑色に光る病原性V. harveyiを作出し、飼育水中の細菌とともに直径約30µmの微小液滴に閉じ込めて共培養しました。病原菌の増殖が抑えられると液滴の緑色蛍光が弱くなる性質を利用し、微小液滴分取装置「On-chip Droplet Selector」によって蛍光強度が低下した液滴を自動で分取する仕組みを構築しました。
89万超の液滴から希少な拮抗細菌18株を単離
研究グループは合計899,823個の液滴をスクリーニングし、253個を分取した結果、18株の再培養とストック化に成功しました。16S rRNA遺伝子配列に基づく分類では、Pseudoalteromonas属が15株、Tenacibaculum属が2株、Shewanella属が1株であることが確認されています。
飼育水の細菌叢解析によると、単離された細菌群はいずれも飼育水中での存在割合が非常に低い希少な菌種でした。また、クルマエビを用いた感染試験において、一部の株を投与した区でV. harveyi感染症の抑制傾向(生存率の向上)が確認されたとしています。
水産分野への応用と今後の展望
水産病原細菌を対象とした微小液滴スクリーニングの報告は、同社によると水産分野で初となります(Scientific Reports掲載論文の記載に基づく同社調べ、2026年8月時点)。存在割合の低い未知の微生物資源へのアクセスが容易になるほか、養殖場ごとの環境に適した拮抗細菌を迅速に選び出すオンデマンド・スクリーニングへの道が開かれます。
単離された拮抗細菌は、詳細な感染防除効果や安全性の検証を経て、薬剤に依存しない水産用プロバイオティクスとしての実用化が期待されています。オンチップ・バイオテクノロジーズの藤村祐代表取締役社長CEOは、「養殖現場が抱える薬剤依存という課題に、微生物資源の側から答えを出せる可能性を示すものです」とコメントしています。
株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ 概要
- 設立:2005年
- 代表者:代表取締役社長CEO 藤村 祐
- 本社所在地:東京都小金井市中町2-16-17 1階
- 事業内容:マイクロ流体技術を核とするバイオ計測装置メーカー
- URL:https://on-chip.co.jp/
本記事は株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズの発表をもとに作成されています。
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