A.T. カーニー、エージェンティックAI基盤市場の論考を公開
経営コンサルティングファームのA.T. カーニー(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考「立ち上がりつつあるエージェンティックAIソフトウェア基盤市場」を公開した。同論考では、エージェンティックAIがアプリケーション中心のSaaSからエージェント中心のAaaS(Agent-as-a-Service)への移行を促し、新たなソフトウェア基盤市場を形成しつつあると指摘している。AIソフトウェア基盤市場は現在約300億ドル規模で、今後数年で40%超の年平均成長率が見込まれるとしている。
AaaSへの移行とAI基盤市場の成長見通し
同論考によると、世界のエージェンティックAI市場は現在の一桁台後半の十億ドル規模から、2030年代初頭には数十億ドル台後半、あるいは数千億ドル規模へ拡大するとの予測が複数出ている。ただし、この予測規模は含まれる機能範囲によって大きく変わる見通しだという。
この成長を支えるAIソフトウェア基盤市場は現在およそ300億ドルで、今後数年で年平均40%を超える成長率が見込まれている。かつてSaaSの普及にクラウド基盤が不可欠だったのと同様に、AaaSへの移行においても実行、記憶、統制、商業管理を含む基盤能力が重要になると論じられている。

7つの機能層とプラットフォームの現状
論考では、エージェンティックAI基盤の全体像を以下の7つの機能層に分解している。
- エージェンティック基盤
- MCP実行基盤とサーバー
- エージェンティックな文脈保存基盤
- エージェンティック市場機能
- 運用・ガバナンス・セキュリティ管理ツール
- 財務・商業管理層
- 開発・テスト・ツール

現時点では、今日のクラウド・データベースやコンテナ・オーケストレーション層に相当する決定的で成熟したプラットフォームは存在していない。現在は実行基盤とオーケストレーションが同一ベンダーやプラットフォーム内で束ねられるケースが多いものの、市場の成熟に伴い、実行基盤は標準化・汎用品化へ向かい、オーケストレーション層はセキュリティやガバナンス、コスト統制などの制御点へ分化すると分析されている。
投資家に向けた8つの仮説と注目領域
プライベートエクイティ投資家向けには、資本配分を検討するための8つの投資仮説が示された。オーケストレーションは、セキュリティ、ガバナンス、可観測性、実行、通信、経済性が交差する重要な制御点として位置づけられている。
また、財務・商業管理層は重要でありながら最も未成熟な領域の一つとされている。従来のCPQや請求、FinOpsシステムは、自律行動や成果連動価格、GPU・推論価格の変動に伴う動的なコスト構造を前提にしていないためだ。エンタープライズ技術支出の30%超がクラウド・サービスに配分され、ワークロードの推計50~60%がクラウド基盤上で動く現状を踏まえ、エージェンティックAI基盤も速度や柔軟性、運用簡便性を重視したサービス化へ向かう可能性があるとしている。
一方で、純粋な開発者向けツールの個別解やモデル依存型の投資、単一クラウドに固定された解決策については、拡張性や汎用品化リスクなどの観点から慎重な見極めが必要であると指摘されている。
論考の概要
- 論考名:立ち上がりつつあるエージェンティックAIソフトウェア基盤市場(英題:The emerging agentic AI software infrastructure market)
- 監修者:滝 健太郎(シニアパートナー)、川﨑 健史(パートナー)
- URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/the-emerging-agentic-ai-software-infrastructure-market
本記事はA.T. カーニー株式会社の発表をもとに作成。
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