岩谷技研、気球による宇宙遊覧サービスを見据え成層圏到達に成功
宇宙開発企業の株式会社岩谷技研は、2024年6月2日に北海道十勝地方でフリーフライト有人飛行試験を行い、自社開発の2名乗り与圧キャビン「T-10 EARTHER」を使用して、最高到達高度10,555mの成層圏到達に成功した。
岩谷技研は、今夏に世界初の「気球による宇宙遊覧サービス」の商業運航実現を目指しており、2022年2月の福島での係留飛行試験以降、道内を中心に毎月のように飛行試験を重ねてきた。今回の試験では、商業運航で使用予定の機体と同型のキャビンを使用し、成層圏の低圧環境下での与圧キャビンと生命維持装置の運用試験を行うとともに、自社気球による1万m以上の高度到達が可能であることを実証した。
飛行試験の概要は以下の通りである。離陸地点は北海道新得町、着陸地点は北海道士幌町で、飛行距離は28.6km、飛行時間は119分だった。パイロットは研究開発部実験課運航チームのチームリーダー、宮嶋香和氏が務めた。
岩谷技研は2020年7月に有人宇宙遊覧プロジェクトを始動し、これまでに様々なタイプのキャビンを開発し、飛行試験を重ねてきた。2021年6月には無人打ち上げ試験で気密キャビンを成層圏へ打ち上げ・回収し、2022年2月には有人係留飛行試験で高度30mに到達するなど、着実に技術を積み重ねている。
今回の成層圏到達成功は、岩谷技研の宇宙遊覧サービス実現に向けた大きな一歩となった。同社は、誰もが気軽に宇宙遊覧を行うことを可能にする技術の開発を通じて、新たな未来を創り出すことを目指している。