コーセー、皮膚常在菌数と肌状態の関連性を解明

株式会社コーセーは、皮膚常在菌の数と肌状態の関係性について新たな知見を得た。これまで肌研究では、常在菌の種類と存在比率に着目することが一般的だったが、本研究では菌の”数”に着目。皮膚常在菌の数を網羅的かつ高い定量性をもって計測する方法を確立し、20歳から80歳の一般女性269名を対象に調査を行った。

その結果、菌数は1cm2あたり数百個から数十万個と人によって幅広く、多い人と少ない人では100倍以上の差があることが判明。菌数が多い人は、肌の粗さのスコアが大きく、毛穴が多く、肌の赤みも大きいことがわかった。また、皮脂量も菌数が多い人の方が多い傾向にあり、皮脂が常在菌の栄養源になっている可能性が示唆された。一方、角層水分量やpHといった要素は菌数との相関関係は見られなかった。

これらの結果から、肌状態と皮膚常在菌の関係性を研究する上で、”菌数”は重要な因子の1つであると言える。皮膚常在菌は肌を保護したり、病原菌の定着を防ぐなど、人体と共生する有益な存在。同社は今後も肌と常在菌の研究を継続し、肌の健康に有用な成果の創出に取り組んでいく方針だ。

本研究の成果は、2023年9月の日本化粧品技術者会誌に掲載され、2024年5月に同誌の「2023年度 最優秀論文賞」を受賞した。