夢二の名画《アマリリス》初公開、東京で大回顧展
6月1日から8月25日まで、東京都庭園美術館で「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」が開催されている。この展覧会は、画家・竹久夢二の画業を新たな研究成果をふまえてたどる巡回展だ。
5月31日に行われたプレス内覧会では、本展監修者の岡部昌幸氏(帝京大学名誉教授/群馬県立近代美術館特別館長)らが解説を行った。岡部氏は、現存する夢二の油彩画は約30点と少ないが、本展ではほぼ半分を展示しており、夢二の洋画のすごさ、『洋画家・夢二』の真価を存分に味わえると語った。また、邸宅空間をいかした施工や展示にも注目してほしいと述べた。
本展の大きな特徴は、夢二の油彩画に焦点を当てたことだ。初めての全国巡回でのお披露目となる新発見の名画《アマリリス》をはじめ、実物でしか観ることができない、深みのある色合いや筆遣いを堪能できる。また、本展には多くの軸作品があるが、表装にも注目だ。アール・デコ様式の柄を使用するなどモダンでポップな雰囲気に仕立てており、趣向をこらしている様子がうかがえる。
東京展の会場となる東京都庭園美術館の本館は、1933年に旧皇族・朝香宮家の自邸として建てられた。アール・デコ様式の優美な内装で知られ、国の重要文化財にも指定されている。同時代の香りを残す邸宅空間で味わう夢二は、この会場ならではの贅沢な鑑賞体験だ。
また、200人限定でこの空間を堪能できる「ぴあプレミアムナイト」の開催が決定した。監修者の岡部昌幸氏のギャラリートークと箱入り図録もついた贅沢なひとときを楽しめる。
東京展の後は、岡山の夢二郷土美術館、大阪のあべのハルカス美術館など、全国6館を巡回する予定だ。