Health ISAC Japan、医学論文での生成AI安全利用に向けた提言を公開
一般社団法人Health ISAC Japanは、医学論文の執筆・投稿、査読、編集業務において生成AIを利用する際にあらかじめ検討すべき事項を整理した提言「医学論文における生成AIの安全な利活用に向けた基礎的な検討事項」を公開しました。本提言は、同団体内のセキュリティ民主化分科会に設置された生成AIサブワーキンググループが取りまとめたものです。
提言公開の背景と課題意識
医学研究分野では生成AI技術の進展に伴い、論文執筆や文献整理、査読、編集など多様な場面で利用が広がりつつあります。作業の効率化など研究支援につながる期待がある一方、ハルシネーションによる誤情報の生成や学習データのバイアス、AI出力への過度な信頼といった課題が医学論文の信頼性に影響を与える懸念も生じています。
医学論文は診断・治療法や医薬品などの科学的根拠として診療ガイドラインや医療政策、日々の診療に活用されるため、内容や評価プロセスの信頼性が損なわれた場合、医療の質や患者安全に影響を及ぼす可能性があります。国際的には議論や方針整備が進む一方で国内の取り組みは未だ十分とは言えず、患者情報や未公表の研究成果といった機密情報の取り扱いに伴うサイバーセキュリティ対策も求められています。
提言の概要と主な論点
本提言は、医学論文が公開・出版されるまでのライフサイクルのなかで、投稿者(執筆者)、査読者、編集者の各立場において研究公正性を確保するために検討・留意すべき事項を整理したものです。個々の利用場面ごとの詳細なルールではなく、各学会やジャーナルなどが実情に応じたルールを検討する際の出発点となる基礎的な枠組みとして位置づけられています。
主な論点として、出力内容の正確性の確認、利用範囲や目的の透明性確保、研究者自身による医学的・学術的判断の説明責任、査読の独立性維持、編集プロセスにおける統一的方針の必要性などが挙げられています。あわせて、機密性の高い情報を汎用的な生成AIサービスで取り扱う際の情報管理やサイバーセキュリティ上の基礎的な検討事項も補足的に整理されています。
今後の取り組みと説明会の開催予定
同団体は今後、生成AIサブワーキンググループによる本提言のオンライン説明会を開催する予定です。説明会では国内外ですでに指摘・発生している課題や実際の利用場面での留意事項を取り上げ、開催日は別途告知されます。
また、外部の学会や団体、ジャーナルなどと連携し、各組織の特性を考慮した支援活動を推進する計画です。活動を通じて得られた知見や教訓は同団体のウェブサイトで適宜公開される予定です。
一般社団法人Health ISAC Japanの概要
- 名称:一般社団法人Health ISAC Japan(略称:HIJ)
- 設立年:2025年
- 所在地:東京都港区浜松町2-2-15 浜松町ダイヤビル2F
- 代表理事:小森 直之(一般社団法人日本医療法人協会 副会長、医療法人恵仁会なぎ辻病院 理事長)
- 副代表理事:宮田 俊男(医療法人社団DEN 理事長、早稲田大学理工学術院先端生命医科学センター 教授)
- 理事:大河内 二郎(公益社団法人全国老人保健施設協会 常務理事、介護老人保健施設竜間之郷 施設長)
- 監事:渡邊 仁(公認会計士)
- 顧問:中尾 康二(情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 主管研究員、一般社団法人ICT-ISAC 顧問)、宇賀神 敦(医療AIプラットフォーム技術研究組合 理事長)
- 法務参与:吉峯 耕平(田辺総合法律事務所 弁護士)
- 事務局長:江原 悠介
- ウェブサイト:https://health-isac-japan.jp
本記事は一般社団法人Health ISAC Japanの発表をもとに作成しました。
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