JALとスカパーJSAT、衛星データ活用で地域課題解決へ業務提携を締結
日本航空株式会社とスカパーJSAT株式会社は2026年10月29日、衛星データを活用した地域課題の解決と新規事業の創出に向け、業務提携基本契約を締結したと発表した。両社は、スカパーJSATが持つ衛星データや解析技術にJALが培った安全に関する知見や地域ネットワークを組み合わせ、課題把握と対策立案を支援するソリューションを共同開発する。検討テーマの一つとして、ヒグマなどの野生鳥獣の出没リスクを可視化するソリューションなどが挙げられている。

提携の背景と目的
人口減少や労働力不足、自然災害、インフラの老朽化といった社会課題への対応が求められるなか、衛星データは広範なエリアを継続的に観測し、地域の状況把握や異常検知を行う手段として期待されている。

スカパーJSATは、光学衛星や熱赤外衛星のほか、地表にマイクロ波(電波)を照射して反射する電波を捉えて画像を取得し、雲や噴煙の影響を受けにくく昼夜を問わず観測できる特長を持つSAR衛星(合成開口レーダー:Synthetic Aperture Radar)による地球観測データを活用し、官公庁や民間企業に各種ソリューションを提供してきた。一方のJALは、航空事業で培った安全基準や航空技術の知見、ノウハウを次世代モビリティ事業に応用し、新規ビジネスの創出や地域活性化、社会課題解決に取り組んでいる。
航空機向け衛星通信サービスにおいて協業してきた両社が、宇宙領域における連携を模索するなかで、互いのネットワークやデータ、解析技術、知見を掛け合わせることで新たな社会価値を創出できると考え、今回の業務提携に至った。
野生鳥獣対策をはじめとするソリューションの開発
提携を通じて、衛星データをはじめとする各種データを活用した社会課題解決ソリューションの検討と開発が進められる。具体的な内容は以下の通りとなる。
- 社会課題およびニーズの調査
- 衛星データを活用したソリューションの構築
- 官公庁、自治体、民間企業などと連携した実証
- 実証結果を踏まえた事業モデルの構築、実装
取り組みの具体例として、ヒグマをはじめとする野生鳥獣との共生と地域社会の安全の両立を目指すソリューション開発の検討が進められている。近年、野生鳥獣の都市部出没が増加し、住民や旅行者の安全確保に加えて観光やイベントなどの地域経済活動への影響が課題視されている。
両社は衛星画像解析から得られる植生データなどを組み合わせ、出没リスクに関する環境情報を可視化して地方自治体などに提供することで、予防の観点から安全確保と地域経済活動への貢献を目指す。すでに地方自治体や関係機関へのヒアリングを実施しており、地域の実情を踏まえたソリューション構築と実証計画を進めている。
多様な領域への展開と今後の展望
今後は野生鳥獣対策の取り組みを起点とし、防災・減災、森林管理、環境モニタリング、インフラ管理など、衛星データの活用が見込まれる幅広い領域での展開が検討される予定だ。さらに衛星データだけでなく、多様なデータを連携させることによって高度な分析や意思決定を支援するサービスの創出も視野に入れている。
両社は空と宇宙それぞれの知見を生かし、データ活用を通じた地域課題の解決と安全・安心で持続可能な地域社会の実現に貢献していく姿勢を示している。
会社概要
日本航空株式会社
- 本社:東京都品川区
- 代表取締役社長執行役員:鳥取 三津子
- 設立:1951年
- 保有機数:234機(2026年3月時点)
- ネットワーク:世界71カ国・413空港(提携パートナーとともに提供。グループ航空会社を含むネットワーク)
- 認定・アライアンス:oneworld®アライアンスメンバー、Skytrax社の”5-Star Airline”、APEXの”World Class”認定
- Webサイト:https://www.jal.com/ja/
スカパーJSAT株式会社
- 本社:東京都港区
- 代表取締役執行役員社長:米倉 英一
- 主な事業:宇宙事業(航空機・船舶向けインターネット、衛星画像データ活用サービス等)、メディア事業(「スカパー!」放送・配信事業、光アライアンス事業等)
- 備考:2026年4月に持株会社と事業会社を統合
- Webサイト:https://www.skyperfectJSAT.space/
本記事は日本航空株式会社およびスカパーJSAT株式会社の発表をもとに作成しています。
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