TO-KI Timber Shift Awardで黒田日向子さんがグランプリを受賞
大学院工学系研究科博士前期課程環境学専攻2年次生の黒田日向子さんが、2026年10月10日に広島シャレオで開催された木材活用アイデアコンペ「TO-KI Timber Shift Award」で最高賞となるグランプリを受賞した。受賞作品「水のあいだ」は、現代の住まいと自然との関係性を見つめ直す独創的な発想が評価された。自然を単に取り込むのでも遮断するのでもなく、人と自然との新たな距離感を提案している。
木材の可能性を探る学生向けアイデアコンペ


「TO-KI Timber Shift Award」は、広島県木材組合連合会の第50回総会記念事業として発足した「ひろしま木材研究会 TO-KI」が主催する学生向けの木材活用アイデアコンペである。「〇と木」をテーマに木材の新たな可能性を探る試みで、第1回となる今回は「水と木」をテーマに実施された。
県内外から寄せられた応募の中から一次審査を通過した5組が最終審査会でプレゼンテーションを行い、審査を経て黒田さんの作品がグランプリに選出された。本コンペは、学生のアイデアを社会実装につなげる点も特徴となっている。
縁側から着想を得た「水のあいだ」


グランプリを受賞した作品「水のあいだ」は、快適性を追求する一方で自然との接点が薄れつつある現代の住まいに対し、人と自然の新たな関係性を提案したものである。
着想の原点となったのは日本の住まいに古くから存在する「縁側」で、風や光、雨などの自然環境を受け止めながら室内との距離を調整してきた役割を、現代の集合住宅の中で再解釈した。提案では住戸とバルコニーの間に網戸のような木製建具を設置し、木が水を含むことで色や表情が変化する性質や、湿気を吸収・放出する特性を活かして「環境のフィルター」として機能させる。風の変化や雨の気配、湿度の移ろいといった自然の小さな変化に気づくきっかけを生み出す設計となっている。

2027年5月の完成に向けて実制作へ
受賞作品は、学生のアイデアを社会実装につなげる取り組みとして、2027年5月の完成に向けて実際に制作・展示される予定である。制作の過程では、黒田さん自身も打ち合わせなどに参加して実現に取り組む。
黒田さんは、アイデアを形にするためにはデザインの魅力だけでなく素材の特性や実現可能性まで含めて考える大切さを学んだとし、「さまざまな方と協力しながら、アイデアを実際の形にできるよう取り組みたい」と述べている。今後は今回の経験や視点を修士研究にも取り入れ、素材と環境の関係性から建築のあり方を探究していく方針である。
本記事は大学の発表をもとに作成
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