スペースデータ、ブラウザで操作可能な工場デジタルツインを開発
東京都港区に本社を置き、佐藤航陽氏が代表取締役社長を務める株式会社スペースデータは、神奈川県内の製造工場を360度カメラで撮影したデータをもとに、工場の空間・機械・ロボット・人の動きを再現したデジタルツインを開発した。3DGS(3D Gaussian Splatting)やBlender、Google DeepMindの物理エンジン「MuJoCo」などを組み合わせて構築しており、スマートフォンやPCのブラウザでURLを開くだけで動作する。利用者は工場内をアバターで歩き回りながら、機械の配置やロボットの動作、安全範囲をその場で確かめることができる。
360度撮影データから工場空間を再構築
工場や物流倉庫における設備導入では、設置スペースの確保や既存設備との干渉、作業者の動線や安全範囲の確認など多くの事前検討が必要とされる。現地確認や図面での検討には時間と手間がかかり、専任の生産技術部門やシミュレーション環境を持たない中小規模の現場では導入後に問題が判明する場合もある。スペースデータは、AIに物理を学ばせる「空間知能」の技術を工場現場へ応用し、撮影から再現、物理演算、ロボットの動作検証までを一つの空間に統合した。

同システムは、360度カメラで撮影した工場内の映像を3DGSに変換してノイズを除去し、Blenderを用いて建屋を修復・再構築している。工場内の設備には、プレス機やクレーン、フォークリフト、協働ロボット、搬送AMR(自律走行搬送ロボット)など、同社が制作した汎用の3Dモデル22点を使用しており、実在工場の空間感を維持しながら利用企業固有の設備情報を含めない形で再現した。

本環境は、ブラウザ上で3DGSと機械の3Dモデルを描画し、Google DeepMindの物理エンジン「MuJoCo」をブラウザ内で動作させる仕組みとなっており、専用ソフトウェアのインストールを必要としない。
- 作業服のアバターで工場内を歩き回り、機械に近づいてボタンを押すことで実際に機械を動かせる
- 動いているクレーンのフックの下に人が入るとクレーンが停止するほか、協働ロボットは人が近づくと減速・停止する安全動作を確認できる
- フォークリフトによるパレットの持ち上げや、搬送AMRによる台車運搬および停止動作、段ボールが落下の衝撃でへこむ挙動などを物理演算で再現する
デジタルツイン空間内では、工場の機械、ロボット、フォークリフト、棚・パレット・作業台、天井クレーンなどをカタログから選択し、配置したい場所へ設置できる。
配置位置は10cm単位、向きは15度単位で調整可能となっており、既存の機械や壁と重なる場合は赤く表示される仕様となっている。さらに、床の2点を指定することでその間の長さが表示され、機械の導入前に空きスペースの広さを計測することも可能だ。
想定される活用シーンと今後の展開
本デジタルツインは、機械やロボットの導入、レイアウト変更を検討する製造業・物流・建設などの事業者を主な対象としている。機械の購入・搬入前における設置スペースや動線の確認、安全動作の関係者間での共有、設備導入を提案する営業担当者による遠隔での提案ツールとしての利用などが見込まれている。
今後はスペースデータが運営する「ROBOTBRAIN」で公開される予定となっている。同社はブラウザ上で工場内を歩行する機能や機械を配置する機能などを共通部品として整備し、工場や倉庫のデジタルツインを短期間で提供できる基盤づくりを進める方針だ。中小企業や個人事業主の現場にも導入しやすい形態を目指すとともに、ロボットが現実空間で認識・判断・行動するフィジカルAIの開発・検証環境としての活用も進めるとしている。
株式会社スペースデータの概要
- 所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
- 代表:佐藤航陽
- 資本金:15億1300万円
- 事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
- 公式サイト:https://spacedata.jp
本記事は株式会社スペースデータの発表をもとに作成されています。
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