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新田ゼラチンと日大、イヌ用コラーゲン人工靱帯で天然と同等の安定性を実証

新田ゼラチン株式会社と日本大学生物資源科学部の枝村一弥教授らの研究チームは、断裂したイヌの前十字靱帯を再建するコラーゲン人工靱帯の製品化に向けた共同研究を進めています。イヌ膝関節組織を用いた生体力学的評価において、この人工靱帯による解剖学的再建術が天然の前十字靱帯と同等の張力および膝関節安定性を示すことが実証されました。研究成果は2026年9月にイタリア・ローマで開催された第7回 世界獣医整形外科会議(WVOC:World Veterinary Orthopedic Congress)で発表されました。

イヌの前十字靱帯(CrCL)は膝関節を安定させる役割を担っています。断裂した場合は、切れた靱帯を直接つなぐのではなく、脛骨(すねの骨)を切って角度などを調整するTPLOやTTAといった手術が広く行われてきました。

一方、人間の医療では患者自身の腱を移植して本来の構造を再現する「関節内解剖学的再建術」が一般的です。イヌの医療でも人工靱帯を使った研究は行われていたものの、コラーゲンのみで作られた人工靱帯の性能を詳細に評価した研究はありませんでした。従来の製法では大量生産が難しく、イヌの膝に生じる張力に耐える強度の確保が困難だったため、前臨床での機能検証が進んでいませんでした。

延伸紡糸法による人工靱帯の作製と検証方法

新田ゼラチンは、2026年9月に国内特許登録された独自技術である「延伸紡糸法」を用い、直径約25µmのコラーゲンマイクロファイバー(CMF)を紡糸しました。これをループ状に回収し、化学処理で強化した後に撚ることで緻密化を図り、CMF製人工靱帯を作製しました。

生体力学的評価では、動物福祉の「3Rの原則」に基づき新たな動物実験は行わず、他用途で処置されたイヌの関節組織計6標本を活用しました。対照群(正常膝)、完全断裂群、1本の人工靱帯を用いた一重束再建群、2本を用いた二重束再建群の計4群を設定し、イヌが立っている状態の角度(140°)や座っている状態の角度(80°)などで評価を実施しました。

張力および関節安定性の測定結果

靱帯張力の測定では、膝関節の角度140°において一重束再建群が対照群と同等の張力を維持し、二重束再建群は対照群より高い張力を示しました。角度80°では、一重束再建群と二重束再建群の双方が対照群と同等の高い靱帯張力を維持しました。

脛骨前方変位量(すねの骨の前方向へのズレ)の測定では、角度140°において一重束再建群が完全断裂群よりも明らかに小さく、対照群と同等レベル(約3.5 mm)まで減少しました。角度80°でも両再建群ともに対照群(約3.8 mm)と同程度のレベル(約3.5〜3.8 mm)まで変位量が抑えられました。

また、内旋時変位量(ひねりに対する安定性)についても、角度140°で両再建群の内側への変位量が完全断裂群(約6.5 mm)から対照群(約3.2 mm)と同等まで減少しました。角度80°においても完全断裂群(約6 mm)から対照群(約2.5 mm)と同等レベルまで有意に減少しました。

今後の展望と新田ゼラチンの概要

CMFを骨格材料として応用することで、吸水状態での機械的強度が極めて低いという従来の課題を克服し、イヌのCrCL断裂に対する新たな治療アプローチとしての可能性が示されました。本取り組みは、北海道大学と進めているヒト用医療技術開発とも連携し、人医学と獣医学を相互に結びつける「ワンヘルス(One Health)」のアプローチを取り入れています。実用化に向けて、今後は生体内における中長期的な靱帯化プロセスや生体適合性の検証に取り組むとしています。

発表を行った新田ゼラチン株式会社の概要は以下の通りです。

  • 代表者:代表取締役社長執行役員 竹宮 秀典
  • 本社所在地:〒581-0024 大阪府八尾市二俣2丁目22
  • 創業:1918年(大正7年)1月
  • 設立:1945年(昭和20年)2月
  • 上場市場:東証スタンダード(証券コード4977)
  • 事業内容:ゼラチン、コラーゲンペプチド、コラーゲン、食用ゲル化剤・安定剤の製造販売ほか
  • URL:https://www.nitta-gelatin.co.jp/ja/index.html
新田ゼラチン株式会社

本記事は新田ゼラチン株式会社の発表をもとに作成されています。

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