QPS研究所、小型SAR衛星7号機「ツクヨミ-Ⅱ」の初画像を公開
宇宙開発企業の株式会社QPS研究所は2024年5月17日、小型SAR衛星QPS-SAR7号機「ツクヨミ-Ⅱ」の最初の画像(ファーストライト)を公開した。「ツクヨミ-Ⅱ」は2023年に打ち上げられた「アマテル-Ⅲ」、「ツクヨミ-Ⅰ」に続く3機目の商用機で、衛星コンステレーション構築のための重要な一翼を担う。
「ツクヨミ-Ⅱ」は、QPS研究所が北部九州を中心とした全国25社以上のパートナー企業と共同開発・製造した衛星だ。2024年4月8日、米国SpaceX社のロケット「Falcon 9」で打ち上げられ、予定通りの軌道に投入された。打ち上げから約1時間後には初交信に成功し、同日深夜には収納型アンテナの展開にも成功した。
公開されたファーストライト画像は、5月14日と15日に鹿児島県鹿児島市、桜島、大阪府堺市で撮影されたもの。SAR(合成開口レーダー)の特性により、昼夜や天候に左右されずに地表の画像を取得できている。鹿児島市の画像では、都心部や桜島の裾野、鹿児島湾が鮮明に捉えられ、桜島の画像では噴煙を透過して地表が観測されている。堺市の画像では、湾岸部の工業地帯から仁徳天皇陵を含む古墳群まで幅広くカバーしている。
「ツクヨミ-Ⅱ」は通常の分解能1.8mのストリップマップモードと、高精細な分解能46cmのスポットライトモードでの観測が可能だ。今回公開された画像は通常モードで撮影されたもので、今後はさらに高精細モードでの観測が期待される。
QPS研究所は2005年に福岡で創業された宇宙開発企業で、九州大学発の小型人工衛星開発技術を基盤に、世界トップレベルの小型SAR衛星の開発・運用を行っている。今回の「ツクヨミ-Ⅱ」の成功は、日本の宇宙産業の発展に大きく貢献するものと期待される。