EU、商船三井参画のCO2回収プロジェクトを認定
株式会社商船三井が参画するリトアニアおよびラトビアのCO2回収・輸送プロジェクトが、欧州委員会から「欧州連合(EU)のエネルギー政策・気候目標に貢献するEU域内の主要なエネルギー・インフラ事業 ‘Project of Common Interest’(PCI)」に認定された。
このプロジェクトは、商船三井、同社が出資するノルウェーの船舶管理会社Larvik Shipping AS(LS社)、リトアニアの国営ターミナルオペレーターKN Energies, AB(KN社)、同国のセメントメーカーAkmenės cementas AB(Akmenės社)およびラトビアの建築資材メーカーSCHWENK Latvija SIA(SCHWENK社)の5社で構成されるCCS Baltic Consortiumが手がけるもの。2030年の操業開始を予定している。
今回の選定でPCIまたはEU域内外を繋ぐ事業に与えられる ‘Project of Mutual Interest’(PMI)の認定を受けた計166件のうち、CO2輸送インフラプロジェクトは当プロジェクトを含めて計14件のみだった。PCIおよびPMIの認定を受けることで、認定事業者だけが申請できるEUの財政措置であるConnecting Europe Facility(※)を始めとした数多くの支援を得ることができる。
現在、リトアニアおよびラトビアでは、自国でのCO2貯留が禁止されているため、両国の企業は自社のCO2排出量自体の削減だけで脱炭素目標を達成することが求められている。ゆえにCCSバリューチェーン構築の果たす役割は大きく、両国のエネルギー・気候目標達成への貢献が期待されている。
商船三井執行役員のSuryan Wirya-Simunovicは「これまでの取り組みがPCI認定という形で評価されたことを大変嬉しく思う。当社は海運会社として、また輸送によってCCSバリューチェーンを繋ぐ立場にある者として、当プロジェクトがバルト海沿岸地域ひいては広く欧州の脱炭素において重要な役割を果たせるよう、柔軟で持続可能なソリューションの提供に努めていく。」とコメントしている。
※Connecting Europe Facilityは、交通、エネルギーおよびデジタルの分野における欧州域内の接続性の向上を目的として2014年に設立されたEU基金で、プロジェクトの調査研究や実施費用に充てられる。エネルギー分野には2021-2027年で58.4億ユーロ(約9,800億円)の予算が割り当てられている。