久留米市発のいちごのAI自動収穫ロボット、クラファンで3,160万円を資金調達

福岡県久留米市の株式会社アイナックシステムは、いちごのAI自動収穫ロボット「ロボつみ(R)」の開発に取り組んでいる。同社は株式投資型クラウドファンディングで3,160万円の資金調達に成功し、日本の農業の完全自動化に向けて開発を加速させる方針だ。

「ロボつみ(R)」は、自動で工場内を走行し、AIによる色判定で収穫適期のいちごを自動収穫するロボット。2件の特許を取得しており、収穫労働時間を約60%削減できるほか、いちごに直接触れずに収穫するため、従来より約4日程度長持ちするという。

日本の農業人口は2020年で約136万人と、2010年比で約6割に減少。65歳以上が占める割合は全体の約7割に上り、後継者不足や高齢化による人手不足が深刻化している。特にいちご農家では、摘果や収穫、パック詰めなどの手作業が高齢者にとって重労働となっている。

既存の工場用ロボットを応用した収穫ロボットは、1台当たり1,000万円を超えるものもあり、原材料や燃料価格高騰で経営が厳しい農家には手が出せない価格帯だ。また、果実の熟成具合の正確な判断や、茎を短く切ることも技術的に難しく、完全にクリアした製品は少ない。

同社の代表取締役である稲員重典氏は、いちご農家の出身で、両親が口にしていた「自動化できたらいいな」という言葉がきっかけで、農業の自動化を実現するために起業した。4社での勤務経験を経て、2008年5月に妻と二人で創業。その後、順調に事業を拡大してきた。

今後は、2025年にかけて九州内での「ロボつみ(R)」の販売を行い、実稼働実績を積む計画だ。また、植物工場専用の「ロボかり」の基礎開発や、いちごの収穫時期判断を可能にする「ロボつみ(R)の目」、いちごに触れずに収穫する「ロボつみ(R)ハンド」の開発・販売も予定している。さらに、「ロボつみ(R)いちご」の試験販売で、実に触れずに収穫したいちごの高付加価値販売にも取り組む方針だ。