A.T. カーニー、都市競争力を高めるイベント戦略に関する論考を公開
経営コンサルティングファームのA.T. カーニー株式会社は、都市の国際競争力向上に向けたイベント戦略を提示する論考を公開しました。本論考では、イベントを一過性の催しではなく、長期的価値を生み出す戦略資産と位置づける必要性を指摘しています。国や都市、民間部門が連携し、訴求力や継続性、多様性を備えたイベント・ポートフォリオを設計することが重要であると提起しています。
拡大する世界イベント市場と都市への波及効果
スポーツ、文化、エンターテインメントのライブイベントや大規模な対面型ビジネスイベントを含む世界市場は、2024年時点で約1.5兆ドルと推計されています。市場規模は年平均約10%で成長し、2030年には約2.8兆ドルに達すると予測されているほか、2024年のライブイベント来場者数は世界全体で延べ約150億人に上りました。
イベントは宿泊や飲食、小売、交通などの直接的な経済効果にとどまらず、都市の認知度向上や観光需要の平準化、地域社会への参加促進といった効果も期待されます。具体例として、2025年のF1オーストラリア・グランプリが3億ドルを超える経済効果を生んだ事例や、英国で2024年のライブ音楽公演が7万2,000人を超える雇用を支えた実績が挙げられています。
成果を高める「訴求力・継続性・多様性」の設計
論考では、成果を生むイベント・ポートフォリオの設計原則として、開催地としての魅力を高める「訴求力」、年間を通じた開催機会を作る「継続性」、催しの種類や対象を広げる「多様性」の3点を提示しています。国際的な大型イベントを中核に据えつつ、閑散期を補う催しやビジネスとレジャーの組み合わせを戦略的に配置することが、通年の需要創出につながると分析しています。

メルボルン、ドバイ、フランクフルト、シンガポール、トロント、ロンドン、ニューヨーク、香港の8都市を分析した結果では、主要都市で月に1~5件の目玉イベントが組まれ、全体の30~40%を国際的に認知されたイベントが占めていました。大型イベントを数多く誘致するだけでなく、規模や対象の異なる催しを組み合わせることが重視されます。
国・自治体・民間の連携による持続可能な仕組みづくり
戦略的なイベント運用を実現するためには、関係機関の協調が不可欠とされています。国の機関は規制、資金、ビザ制度、通商政策などを担い、都市当局はポートフォリオの編成や手続き窓口の集約を行い、民間部門は資本や運営力、専門性、デジタル基盤を提供します。
先進地域では官民協議体や統合データ基盤を活用して連携を制度化しており、行政の戦略と民間の実行力をそろえることが、長期的な経済成長と競争力強化の鍵になると論考はまとめています。
論考および発表元の概要
本論考の監修は、日本IBMを経て2004年に同社に入社したシニアパートナーの向山 勇一氏が務めました。
- 論考名:『イベントを経済成長の原動力に――都市の国際競争力を高める戦略的アプローチ』/『世界の都市競争力を高める戦略的イベント設計――イベントカレンダーを経済成長のエンジンへ』(英題:Strategic programming for global city competitiveness: from event calendars to economic engines)
- 論考URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/the-global-events-inflection-point
- 発表企業:A.T. カーニー株式会社(日本代表:針ヶ谷 武文、東京都港区、グローバル・ブランド名:Kearney)
- 企業URL:https://www.jp.kearney.com/
本記事はA.T. カーニー株式会社の発表をもとに作成しました。
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