データセンタ冷却技術:AIをささえる液冷・放熱材料の開発動向と実用化への課題
アスタミューゼ、AIデータセンタ冷却技術に関する分析レポートを公表
CATEGORY: テクノロジー
アスタミューゼ株式会社は、データセンタ冷却に関する技術領域について、同社が所有するイノベーションデータベース(論文・特許・スタートアップ・グラントなど)を網羅的に分析した動向レポートをまとめました。
人工知能(Artificial Intelligence:AI)の演算を担うアクセラレータの発熱量増加に伴い、従来の空冷から液体を媒体とする方式への移行が進みつつあります。本レポートでは、特許・学術論文・グラント(研究助成金)・スタートアップ企業情報の4つのデータソースに基づき、AIデータセンタの冷却に応用できる熱交換・熱管理技術全般の動向を分析しています。

AIデータセンタ冷却の三層構造と産業面の課題
AIデータセンタの冷却技術は、画像処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)などの発熱を排出し、演算性能と稼働信頼性を維持するために欠かせない技術です。液体を用いる代表的な方式として、ダイレクトチップ液冷(直接液冷)、リアドア(rear-door)型冷却、液浸(immersion)冷却の3つが挙げられます。
技術的な役割は、熱の経路に沿って3つの層に整理されます。第1にチップから熱を受け取る界面の層(熱界面材料やベーパチャンバ)、第2に熱を離れた場所へ運ぶ輸送の層(ループヒートパイプや配管系)、第3に施設側で大気や冷却水へ放出する層(プレート式熱交換器や冷凍機)です。これらは直列につながっており、全体の放熱性能向上には半導体側の熱設計と施設側の熱交換の両方が求められます。また、特許母集団においてプレート式熱交換器の専業メーカーと半導体・IT機器メーカーが上位に並存していることから、設備産業と半導体・IT産業の技術をどう組み合わせるかが産業面の課題として挙げられています。
特許分析における技術分類と出願動向
同社データベースから抽出された、AIデータセンタの冷却に応用できる熱交換・熱管理技術に関連する特許母集団は10,234件(出願年2016年〜2025年)でした。各文献の表題から判定した7つのカテゴリにおける件数と比率は以下の通りです。

- 熱交換器・伝熱構造:4,243件(41.5%)
- 熱媒体・熱機能材料:1,272件(12.4%)
- 半導体・電子機器の放熱実装:1,169件(11.4%)
- ヒートパイプ・相変化冷却:1,144件(11.2%)
- 空調・冷凍・施設設備:347件(3.4%)
- 液冷・液浸システム:230件(2.2%)
- 上記に分類されない出願:1,829件(17.9%)
特許母集団のうち、表題または要約でデータセンタもしくはサーバについて明示的に言及しているものは185件にとどまり、大半は汎用の熱交換・熱管理技術となっています。なお、公的支援の動向として、グラント母集団では米国・欧州を中心に二相冷却システムや熱界面材料を対象とする助成が確認され、特に米国では企業向けの研究開発助成が2021年以降も毎年採択されているとしています。
本レポートをまとめたアスタミューゼ株式会社の概要および問い合わせ先は以下の通りです。
- 本社:東京都千代田区
- 代表取締役社長:永井歩
- 著者:アスタミューゼ株式会社 岸本 拓磨 博士(医学)
- コーポレートサイト:https://www.astamuse.co.jp/
- お問合せフォーム:https://www.astamuse.co.jp/contact/
本記事はアスタミューゼ株式会社の発表をもとに作成しました。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



