樋口製作所、本社工場で四足歩行ロボットによる自律巡回を実現
岐阜県各務原市に本社を置く精密金属プレス加工の株式会社樋口製作所は、本社工場において四足歩行ロボットによる工場内の自律巡回を実現した。製造現場の人手不足が進む中、DXに続くフィジカルAIを実務に適用するための検証として実施された。今後はロボットに搭載したカメラとAIを用いた異常検知の実証へと進めるとしている。
製造現場の点検負担とフィジカルAIへの着目
国内の製造業では人手不足が年々深刻化しており、2040年には国内で約1,100万人の労働供給が不足するとの推計もある。特に作業者の安全や設備の異常を確認する巡回点検業務は、現場管理者の経験に依存しやすく、業務負担の大きさも課題となっていた。
こうした状況下で、AIが現実空間で自律的に判断や作業を行うフィジカルAIが世界的に注目されている。しかし、大規模投資を前提とする事例が多く、地方の中小製造業における現場での具体的な活用例はまだ少ないのが実情だという。
本社工場での自律走行検証と抽出された課題
株式会社樋口製作所は2018年以降、生産管理や製造現場のデジタル化を段階的に進め、社内データを活用したローカル生成AIの運用にも取り組んできた。今回の実証は、デジタル空間でのAI活用を物理的な現場へ拡張する一歩と位置付けられている。

実証は株式会社樋口製作所 本社工場(岐阜県各務原市)で行われ、LiDARによる工場内3Dマップの作成と自律巡回、作業者と同じ通路での安全な走行が確認された。外部と物理的に切り離した閉域ネットワークで運用し、外部通信が遮断されていることも実測で確認している。

一方で、狭所での旋回やフォークリフトとの動線交差、イレギュラー時の待避行動といった課題も確認されており、これらは次フェーズで改善を進めるとしている。常務執行役員の石田 清孝氏は、熟練者が担ってきた気づきをデータとして残し次世代に渡せるかを確かめたかったとし、身の丈に合った手法で現場に導入できることを示したいと述べている。
今後の展望と連携の取り組み

本実証は4段階で計画されているプロジェクトの第2フェーズに位置付けられている。次の段階では、ロボットに搭載したカメラとAIを用いた異常検知の実証に着手する。巡回記録やレポートの自動出力、既存の社内データプラットフォームとの連携も視野に入れ、「生成AI・フィジカルAI ファクトリー」の実現を目指す。実証で得られた知見や課題は、地域の製造業や教育機関との意見交換の場で共有していく予定だ。
株式会社樋口製作所について
- 社名:株式会社樋口製作所
- 所在地:〒504-0957 岐阜県各務原市金属団地44番地
- 代表者:代表取締役 樋口 徳室
- 創業:1937年
- 従業員数:272名(2026年10月)
- 事業内容:精密金属プレス加工
- 海外拠点:米国、メキシコ、中国
- 主な受賞・認定:経済産業省「DX セレクション」2022・2025選定
- URL:https://www.hig-jp.net/
本記事は株式会社樋口製作所の発表をもとに作成。
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