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世界初の自動メタボローム解析システムを開発しました

NEDO・神戸大・島津製作所、世界初の自動メタボローム解析システムを開発

CATEGORY: テクノロジー

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と国立大学法人神戸大学、株式会社島津製作所は、微生物の培養から試料調製までの一連の工程を一体化した「自動メタボローム解析システム」を世界で初めて開発しました。培養から試料採取、代謝反応の停止、遠心分離、代謝物抽出、分析用プレートへの分注までを自動で行う仕組みです。

本システムは、神戸大学に構築された「DBTL型スマートセル開発拠点」に実装されており、企業による利用が可能です。

培養から試料調製までを自動化し人的負担を軽減

細胞内の糖やアミノ酸などの低分子化合物を網羅的に測定するメタボローム解析は、細胞の活動状態を直接把握できる手法です。しかし、代謝物には環境変化により数秒単位で量が変化するものがあり、採取直後に代謝反応を停止させるクエンチングや均一な処理が求められます。従来は手作業による工程が多く、作業者ごとの時間差や夜間・早朝作業による人員負担が課題となっていました。

今回開発されたシステムは、サンプリング、クエンチング、冷却遠心、液体除去、チューブ搬送、分注、加熱しながらの振とう・撹拌抽出を行う各ユニットと制御ソフトウェアで構成されています。培養槽から約13秒で培養液が代謝反応停止用チューブに到達し、あらかじめ設定した時刻に間欠的な採取や前処理を自動で進めることが可能です。微生物の培養からメタボローム分析用試料の調製までを統合・自動化したシステムとしては世界初となります(2026年10月時点、神戸大学調べ)。

多重チェック機構で追跡性と再現性を確保

試料の管理にはバーコードが用いられ、培養槽や採取時刻、処理工程、分析用プレート上の位置情報が自動でひも付けられます。これにより取り違えを防止し、処理履歴の確認を可能にしています。

さらに、カメラ画像による工程監視、光学センサーによる細胞沈殿の再懸濁確認、バーコード照合を組み合わせた独自の多重チェック機構を搭載しました。温度や装置動作、画像、試料IDが記録されるため、長時間の自動運転においても処理の正確性を後から検証できます。調製された試料は、液体クロマトグラフィー質量分析装置で測定できる状態となります。

大腸菌の代謝変動を実証、学術誌に掲載

本システムを用い、産業利用されている4種類の大腸菌を対象に培養開始から19時間までの代謝変動を連続測定する実証評価が行われました。その結果、増殖速度が類似している時点でも、株ごとに細胞内の糖やアミノ酸、エネルギー関連物質の量や挙動が大きく異なることが判明しました。W株では一部のアミノ酸が比較的多く、C株では糖代謝やテルペン類合成経路の中間物質に特徴的な変化が確認されています。

本研究成果は米国化学会の国際学術誌『Analytical Chemistry』の表紙(Front Cover)に選出され、2026年10月19日付でオンライン掲載されました。

本システムは、医薬品原料や食品素材、バイオ燃料、化学品の生産に向けた微生物株の選定や、生産量低下の原因究明、代謝経路の改善などへの活用が見込まれています。処理条件がデータとして記録されるため、研究機関をまたいだデータの比較や標準化技術としての展開も期待されています。

NEDOは後継事業である「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」において、バイオ生産プロセスの基盤技術開発やバイオファウンドリの整備を進めており、成果の社会実装を通じて日本のバイオエコノミー発展への貢献を目指しています。

関連事業の概要

  • 事業名:植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発
  • 事業期間:2016年度~2021年度
  • URL:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100118.html
  • 後継事業名:カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発
  • 事業期間:2020年度~2026年度
  • URL:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100170.html

本記事はNEDOの発表をもとに作成。

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