最中屋が介護AI活用セミナーの講演資料を無償配布 使われる条件を解説
株式会社最中屋の代表取締役CEOである結城 崇は、2026年10月9日に東京ビッグサイトで開催された「H.C.R.2026 第53回国際福祉機器展&フォーラム」内のセミナーに登壇しました。演題は「介護のAIが「使われない」理由と使われる3つの条件」で、同社は当日の講演内容を整えた講演資料(公開版、PDF・29枚)の無償配布を開始しました。介護や医療、障害福祉の現場で要配慮個人情報を扱う事業者が、AIを安全に使い続けるための道しるべとして役立ててもらうことを目的としています。

介護現場における生成AI導入の現状と課題
介護現場への生成AI導入が進む一方、現場での定着には課題が残されています。東京都高齢者福祉施設協議会デジタル推進委員会による報告書(令和8年3月)によると、都内の特別養護老人ホーム343施設への調査(回収率67.12%)において、ChatGPTなどの文書作成ソフトを導入している施設は17.73%と前年度の6.90%から増加しました。しかし、導入施設における活用率は62.00%で、約4割(38%)は日常的には活用していません。導入率95.05%、導入施設における活用率97.40%(日常的な活用がないのは2.6%)である介護記録ソフトと比較すると、生成AIは導入後の日常的な活用が進んでいない状況が示されています。
背景には、介護記録に含まれる病歴や心身の状態といった個人情報保護法上の要配慮個人情報の扱いに関する慎重姿勢があります。個人情報保護委員会が2023年6月2日に注意喚起を出しているほか、厚生労働省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の中間とりまとめでも、AIによるケアプラン作成支援の現場への組み込み方について検討が必要と指摘されています。
現場でAIが使われ続けるための3つの条件


結城 崇は講演で、AIが使われない理由を「入力が増える」「任せられない」「効いたか分からない」の3点に整理し、それらを解決するための条件を提示しました。
1つ目は「入力を増やさない」ことです。LIFE(科学的介護情報システム)に提出済みのデータや多職種が作成した既存の記録を活用し、AIのための転記作業を増やさない仕組みが重要と説明しました。
2つ目は「根拠を見せ、決めるのは人」とすることです。AIに任せる範囲を「原案」までにとどめることとし、要配慮個人情報を扱う事業者が守るべき点として以下の4項目を挙げました。
- 利用者の情報を、職員個人のAIアカウントに入力しない
- 使う場合は法人として契約し、入力する情報は最小限にする
- 入力した情報が学習等に使われないことを、契約と設定で確かめる
- 会話の共有リンクを作らない
3つ目は「時間を測って示す」ことです。導入前後に業務時間を測定することで効果を可視化し、生み出された時間がどこへ回ったかを把握することを提案しています。
結城 崇は講演の中で、「AIは利用者に会っていません。AIが間違えても、責任は人に残ります。だからこそ、AIに任せるのは原案までにして、根拠を見せ、決めるのは人にする。そして、まず自分たちの業務の時間を測るところから始めていただきたい。AIに振り回されずに、信じたケアを続けていただきたいと思っています」と述べています。

株式会社最中屋は、AMED 令和6年度「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」の採択課題「データに基づくAIケアプラン作成支援システムの研究開発」(補助代表機関:株式会社全老健共済会)において、AIケアプラン作成支援システム「ミタスト」を研究開発しました。2026年10月1日からは、介護老人保健施設を対象に先行導入の受付を開始しています。
介護老人保健施設5施設で実施した効果検証(有効サンプル1,267人日、導入後の測定は3施設)では、相談職のモニタリング1回あたりの時間が19.9分から9.4分へ52.8%短縮した一方、アセスメントは13.3分から17.6分へ32.3%増加しました(いずれも実測値、施設の状況によって結果は異なります)。事務時間を削減し、利用者の状態把握に充てる時間を増やした結果となっています。さらに同社は、相談職の会議(1日68.2分)を70%、連絡・調整(104.8分)を40%減らす目標値を当てはめた場合、相談員1人あたり1日約1.5時間を対人援助に回せると試算しています。
結城 崇は、事業者に対して個人のAIに記録を入力していないかの確認や業務時間の計測を求めるとともに、開発企業には追加の入力を求めず根拠を示す設計を、行政や研究者には導入率だけでなく継続使用や創出された時間の使途で効果を評価することを提言しました。
講演資料の配布概要と会社概要
講演資料(公開版)は、介護・医療・障害福祉の事業者、行政、研究者、開発企業、報道関係者など希望するすべての方に無償で配布されています。
- 資料名:介護のAIが「使われない」理由と使われる3つの条件(H.C.R.2026 AMED介護テクノロジー関連事業 成果報告セミナー 講演資料 公開版)
- 形式:PDF(全29枚)
- 申込方法:株式会社最中屋公式サイトのお問い合わせフォーム(https://monakaya.com/contact/)から、お問い合わせ内容に「講演資料(公開版)希望」と記入して送信
【株式会社最中屋 会社概要】
- 会社名:株式会社最中屋
- 所在地:〒604-8844 京都府京都市中京区壬生檜町6番地 STハウス2F
- 代表者:代表取締役CEO 結城 崇
- 設立:2022年8月16日(創業:2019年4月11日)
- URL:https://monakaya.com/
本記事は株式会社最中屋の発表をもとに作成しています。なお、セミナーは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて株式会社ビーブリッドが主催し、株式会社NTTデータ経営研究所が共催したものです。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



