イノベーション総研、新規事業の撤退基準・変更ルール設計シートを無料公開
株式会社イノベーション総合研究所は、大企業の新規事業経験者888人を対象とした調査結果をもとに、プロジェクトの継続・変更・撤退の判断を支援する「撤退基準・変更ルール設計シート」を無料公開した。
同社の調査によると、事業開始前に撤退・中止の基準を明文化した層の黒字化率は13.2%となり、開始後に明文化した層の6.1%を上回った。一方で、開始前に基準を定めた層でも38.1%が実際の判断局面で守られなかったと回答しており、基準の策定とあわせて状況を客観的に確認する仕組みの重要性が示されている。
事前策定で黒字化率に差も、38.1%が「守られず」
調査において撤退・中止の基準を明文化した時期と事業の到達状況を比較したところ、開始前に明文化した層の黒字化率は13.2%、開始後に明文化した層は6.1%となった。

しかし、事業開始前に基準を明文化していた場合でも、38.1%が「実際の判断局面では守られなかった」と回答している。基準が守られた層と守られなかった層を比較すると、守られた層の83.8%が社外の第三者または客観的な指標による事業評価を複数回行っていたのに対し、守られなかった層では60.9%にとどまった。この結果から、基準の設定と並行して、事業の状況を途中で繰り返し確認する取り組みが重要であると同社は分析している。

無料公開された「撤退基準・変更ルール設計シート」は、全16ページのPDFとExcel形式で提供される。基準そのものに加え、「確認する日」「確かめる情報」「継続・変更・撤退を決める人」を書き出せる構成となっている。
新規事業の初期段階では売上が立たないことが一般的であるため、シートでは顧客の課題感や価格への反応など、事業のフェーズに応じた条件設定を促す。また、事業の前提が変わって基準を見直す場合に備え、新しく判明した事実や変更理由、追加で投じる費用・期間、承認者を記録する変更履歴欄も設けられている。さらに、事業を停止する際にも顧客の反応や採算が合わなかった理由などを記録し、次の案件へ知見を残せるよう設計されている。
代表取締役 CEOの長尾 浩平氏は、「撤退基準は、挑戦を止めるためのものではありません。『この範囲なら試してよい』を関係者で共有するためのものです。基準を作っても、確認する日と決める人が決まっていなければ、判断は先送りされます。始める前に、何が分かったら続け、変え、止めるのか。その約束を一枚にまとめてみてください」とコメントしている。

調査の概要
- 調査内容:新規事業の取り組み、事業の到達状況、組織・体制など
- 調査期間:2026年4月3日~8日
- 調査主体:株式会社イノベーション総合研究所
- 調査実施機関:株式会社マクロミル
- 調査対象:従業員1,000名以上の企業に勤務し、過去5年以内に新規事業へオーナー、リーダーまたは意思決定者として関与した方
- 有効回答数:888名
- 調査方法:インターネット調査
株式会社イノベーション総合研究所の概要
東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワーに本社を置く株式会社イノベーション総合研究所は、2024年1月に設立された新規事業立ち上げ・事業化支援のプロフェッショナルファーム。代表者は長尾 浩平氏が務める。事業課題を整理する「Compass」、新規事業AIエージェント「Plan」、実務を担う専門家チーム「TeamPro」などを提供している。
本記事は株式会社イノベーション総合研究所の発表をもとに作成。
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