老舗企業の倒産急増、過去最多の145件
株式会社帝国データバンクが、2024年の老舗企業(創業・設立から100年以上の業歴を有する企業)の倒産件数が145件に達し、リーマン・ショック時の2008年の120件を大幅に上回り、過去最多を更新したと発表した。
業種別では、小売業が43件で最多となり、スーパーマーケットや百貨店などの大型商業施設、呉服小売、料亭などが目立った。製造業も42件と高水準で、水産食料品製造、清酒製造、生菓子製造、米菓製造などが含まれる。小売業と製造業の2業種で全体の約6割を占めた。
倒産要因のほとんどが「販売不振」だったが、物価高や後継者難など、近年鮮明になりつつある経営リスクが直撃したケースも多数確認された。
老舗企業は長年の信用と蓄積された資産を生かした収益性・安定性が強みだが、小規模事業者が多くを占めている。近年深刻化している物価高や後継者難に対応できなくなるケースが増えており、日本の伝統産業や地域に愛された企業も例外ではない。
2023年には上場老舗企業のコンプライアンス違反による倒産も複数生じ、「老舗=安泰」というイメージに変調が表れている。
老舗企業は代々続く伝統の家訓・経営理念に代表される豊かな精神性や公益を重んじる事業展開を武器として長く事業を続けてきたが、一層激しく変化する経営環境の中で、あらゆる荒波を乗り越えてきた「進取の気性」が今一度求められているという。