名古屋市立大学、最新紫外線治療器セラビーム® UV308 Proなどを発表
名古屋市立大学(名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1、学長:大原弘隆)は2026年10月6日、記者説明会「光線療法の新展望—皮膚疾患、免疫制御、在宅医療、海外展開」を開催しました。医学研究科病院経営学(前 加齢・環境皮膚科学)の教授で、名古屋市立大学医学部附属西部医療センターの病院長を務める森田明理教授が講師として登壇しました。説明会では、2026年10月に販売開始する紫外線治療器の最新機種「セラビーム® UV308 Pro」の紹介や、在宅光線療法の実現に向けた展望などが明かされました。
光線療法の開発史と最新機器セラビーム® UV308 Pro
名古屋市立大学は1975年に皮膚科第2代教授の水野信行先生が日本で初めてPUVA療法を導入して以来、光線療法の研究をリードしてきました。従来のPUVA療法における発がん性リスクや薬剤供給の課題を受け、同大学では薬剤に頼らない光線療法機器の開発を推進してきました。2002年の「311 nm ナローバンドUVB治療器」や、水銀を使用しない2011年のフラットタイプナローバンドUVB治療器「TARNAB(ターナブ)」などを開発してきた経緯があります。
また、ノーベル物理学賞を受賞した天野浩先生の提案をきっかけにウシオ電機との深紫外線LEDを用いた共同開発が進み、2021年の「セラビーム® UVA1」、2022年の「セラビーム® UV308 mini LED」の実用化に至りました。
2026年10月からウシオ電機にて販売を開始する最新機器「セラビーム® UV308 Pro」は、治療効果に適した308 nm付近の放射強度を「セラビーム® UV308 mini LED」の約1.5倍に高め、1回あたりの照射・処置スピードを従来の「セラビーム® UV308 mini」と比較して約1/4に短縮しました。紅斑反応の原因となる297 nm以下の不要な短波長をカットする「エキシマフィルター」を搭載しています。平均MED(最小紅斑量)は「UV308 mini LED」の約300mJ/cm²に対し、「UV308 Pro」では約250mJ/cm²となっており、重量は約380 gで、購入後6年間は保守メンテナンスフリー設計となっています。
紫外線照射による制御性T細胞の誘導と新機能
研究活動の全体構想である「光が切り拓く新たな研究開発拠点形成」では、AMEDやJSTなどの公的資金を受け、医学・薬学・工学を融合させた難治性疾患治療やがん治療などの研究を進めています。


この中で、坂口志文先生が発見した「制御性T細胞(Treg)」がUVB(紫外線B波:280~320 nm)の照射によって誘導されることや、地上には届かないUVC(紫外線C波:100~280 nm)領域の260 nmの光が300 nmよりもTregをより誘導することが見出されました。
紫外線により増殖した制御性T細胞は、免疫抑制だけでなく組織修復能力(アンフィレギュリン:AREG)やプロエンケファリン(PENK)を有しており、痛みの緩和や創傷治癒の促進につながる可能性についての研究が進められています。
在宅光線療法の実現に向けた保険適用申請と海外支援
患者の通院や医療費の負担を軽減するため、水銀フリーの平面光源(312 nm Xe放電)を採用した超軽量(500 g)治療器「TARNAB(ターナブ)」を活用した在宅光線療法の実現を目指しています。患者が自宅で照射し、スマートフォン等で画像を送信して医師が治療プロトコルを遠隔管理するシステムが考案されています。現在、公的医療保険の適用を目指し、厚生労働省の診療報酬改定に向けた申請や折衝が継続されています。

さらに、高価な注射薬の使用が難しいアジア諸国への支援として、名古屋市立大学病院ではタイやフィリピンから皮膚科医を3か月間受け入れて研修を実施しているほか、タイ(IOD)やシンガポール(ナショナル・スキン・センター)での講義を通じた技術支援も進められています。
森田明理教授は、患者への身体的・経済的負担の軽減が期待できる光線療法の選択肢を届けるとともに、在宅光線療法の実現に継続して取り組み、名古屋から世界へ発信していく姿勢を示しました。

本記事は名古屋市立大学の発表をもとに作成しました。
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