ワールド・ビジョン調査 食料調達に先進国で1時間強 中央アフリカでは約30日分
国際NGOワールド・ビジョンは、世界62カ国を対象に実施した第5回「食料バスケット調査」の結果を公表しました。栄養のある標準的な食料をそろえるための負担を調べたところ、国や地域によって労働時間に大きな格差がある実態が明らかになりました。食料価格の高騰は、子どもの健康や教育など将来の機会にも深刻な影響を及ぼしているとしています。
国や地域で開く食料調達の労働時間格差
調査では、各国の食料バスケットの価格を購買力平価(PPP)で調整し、1人当たりの国民総所得(GNI)と比較することで、基本的な食料を購入するために必要な労働時間を算出しました。分析は、食料バスケットの価格データとGNIデータの双方がそろった56カ国を対象に行われています。
その結果、アイルランド、米国、英国など一部の先進国では食料バスケットの購入に必要な労働時間が1時間強にとどまる一方、中央アフリカ共和国では約30日分の収入が必要となるなど、極端な格差が浮き彫りとなりました。

食料バスケットの価格が1週間分の労働コストを上回った国は11カ国にのぼり、中央アフリカ共和国、スーダン、マラウイ、コンゴ民主共和国、モザンビーク、チャド、ソマリア、ミャンマー、ハイチ、ザンビア、ウガンダが含まれています。これらの国の多くでは、紛争や避難、経済危機、気候変動などが重なり、市場や食料供給に影響を及ぼしています。
子どもの栄養状態や家庭生活への深刻な影響

調査対象となった食料バスケットは、バナナ1㎏、白米1㎏、小麦粉1㎏、粗糖1㎏、トウモロコシ1㎏、卵12個、調理用油1ℓ、鶏肉1羽分、トマト1㎏、牛乳1ℓの10品目です。世界では約3人に1人が健康的な食事を経済的にまかなえない状況にあり、アフリカでは2025年に人口の66.6%が健康的な食事を購入できませんでした。また2025年には、世界で3,550万人の子どもが急性栄養不良に陥り、そのうち約1,000万人が重度の急性栄養不良だったとされています。

食料価格の高騰は各家庭の日常を直撃しています。レバノンでは公立学校教師のラナさんが、以前は週に少なくとも2回買っていた肉を月1回に減らし、果物も贅沢品になったと話すなど、住宅の修繕を後回しにして食事を優先せざるを得ない生活を強いられています。
また、2025年に人口の3分の1近くにあたる1,670万人が食料不安に直面したミャンマーでも、2021年の政変以降の混乱に加え、2025年の大地震や2026年の洪水が追い打ちをかけています。8人の子どもを抱えるキンさんの家庭では、子どもたちが油と塩だけでご飯を食べる日が日常的になっていると訴えています。


ワールド・ビジョン・インターナショナルの食料・現金・市場担当シニアディレクターを務めるポール・キヌシアは、食料価格の格差は人道支援だけでは解消できず、社会保障制度の強化や強靭な食料システムへの投資、飢餓と栄養失調の根本原因となっている脆弱性への対処に向けて、援助国や各国政府、企業、国際機関が連携して取り組む必要があると指摘しています。
同団体は食料危機の根本的な解決に向け、子どもの十分な食料への権利保護や不公正な経済構造の是正、地域の食料システム強化、企業への権利尊重の要求などを含む6項目の提言を行っています。
ワールド・ビジョンは2025年、食料支援プログラムを通じて世界で約1,000万人に支援を届け、その約60%が子どもたちでした。また60万人以上の子どもたちへの学校給食プログラムを実施したほか、広範な人道支援活動全体では70カ国で3,560万人以上に支援を提供しています。
本記事は国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンの発表をもとに作成しました。
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