ネパール土石流災害 「温暖化の代償を背負う子どもたち」 ユニセフ広報官、被災地から報告 【プレスリリース】
ネパールの土石流で子ども3万2000人超が被災、ユニセフが現状報告
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ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは2026年10月9日、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見にカトマンズからオンラインで参加し、8月に大規模な土石流に見舞われたネパールの現状について報告しました。8月下旬にヒマラヤ山脈で氷河の塊と岩盤が崩れ落ちたことで発生した土石流により、同国では3万2,000人を超える子どもが被害を受けています。確認された子どもの死者は84人に上り、なお5,285人が行方不明となっています。

気候危機と子どもたちへの深刻な影響
ネパールの温室効果ガス排出量は世界全体のわずか0.1%程度にとどまります。しかし、ヒマラヤ山脈の温暖化の速度は世界平均のおよそ2倍に達しており、氷河の縮小や永久凍土の融解によって斜面を支える氷や凍結した岩盤が弱くなっています。科学者たちは、気温上昇に伴って同様の災害が発生する可能性が高まっていると警告しています。
ヒンドゥークシュ・ヒマラヤ地域には極地を除いて地球上で最も多くの氷が蓄えられており、山岳地帯に暮らす2億4,000万人と、下流に住む16億5,000万人の生活を川が支えています。合わせると全人類の約4分の1に当たる20億人近くに影響が及ぶシステムにおいて、融解加速による洪水の危険性増や、将来的な氷河消失に伴う深刻な水不足が懸念されています。
教育やインフラへの被害と現金給付支援

今回の洪水により、23校の学校、7カ所の保健施設、64の給水設備が損傷または破壊の被害を受けました。災害は子どもたちから不可欠なサービスを奪い、心に傷を残すほか、学習機会の喪失や児童婚リスクの増大など将来を危険にさらす影響を及ぼしています。ネパールでは若い女性の28%がすでに児童婚を経験しています。また、洪水以前から同国では50万人を超える子どもが、少なくとも3つの気候・環境ハザードが重なる状況にさらされていました。
被災者支援として、ユニセフは人道的現金給付を含む冬季支援を展開しています。現金給付は、毛布や新生児用キット、防寒着の配布とともに実施され、家庭が必要な使途を自ら判断できるようにするものです。被災者の中には、給付された現金を子どもの教科書や文房具、衣類の購入に充てた家庭もあります。ユニセフは、継続的な現金給付支援の必要性を訴えています。
支援の成果と気候リスクへの対応
現地では、政府、地域社会、国連による包括的な対応が進められています。ユニセフとパートナーは数週間のうちに、6万8,000人を超える人々へのコレラワクチン接種、2万7,000人への給水再開、何千人もの子どもの学びや遊びの場への復帰支援を実施しました。また、親や養育者とはぐれた51人の子どもを家族の元へ戻す支援も行われました。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国は損失と損害に対処するための資金と支援の提供に合意しており、返済不要を基本とした迅速で実効ある支援が求められています。世界が気候リスクの軽減に向けた行動を取らなければ、今後も災害のたびに子どもたちが大きな代償を払うことになると警告されています。
組織概要

- ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)
- 活動内容:すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関。現在約190の国と地域(ユニセフ国内委員会が活動する32の国と地域を含む)で活動
- 活動資金:すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金
- URL:https://www.unicef.org
- 公益財団法人 日本ユニセフ協会
- 活動内容:32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つ。日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担当
- URL:https://www.unicef.or.jp
本記事は日本ユニセフ協会の発表をもとに作成されています。
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