酉島製作所、液化水素ポンプの運転試験に成功

株式会社酉島製作所と京都大学の中村武恒特定教授は、世界初となる大流量・高効率の液化水素ポンプの開発に成功し、その運転試験も順調に行われたことを発表した。このポンプは、高温超電導モータを搭載し、液化水素の大量運搬を効率的に行うことが可能である。これは、水素社会の実現に向けた大きな一歩となる。

水素は、カーボンニュートラルの達成に欠かせないエネルギー源であるが、そのコストの低減が課題となっている。その解決策として、水素を液化し、大量に運搬することが有効とされている。そのためには、-253℃まで冷却した液化水素を、大流量で、かつガス化しないように効率的に移送するポンプが必要となる。

酉島製作所は、この課題に挑戦し、京都大学と共同で開発を進めてきた。その結果、高温・高圧多段ポンプで培った技術を活かし、5,000 min-¹の高速回転を実現した。また、液化水素のガス化を抑制するために、京都大学の中村特定教授が研究開発してきた高温超電導モータを採用した。

この開発により、液化水素ポンプとして世界最大流量、遠心ポンプによる昇圧量として世界最高圧を達成した。これは、技術面・コスト面での大きな課題をブレークスルーする革新的な成果である。

今後は、2030年以降の水素サプライチェーン商用化に向けて、さらなる大流量、高圧力をめざして開発を進める予定である。これにより、水素供給コストを国が将来的な目標として掲げる20円/Nm³までの低減に貢献することを目指している。

酉島製作所と京都大学の共同開発により、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」のすべてのプロセスにおいて必要不可欠な、大流量・高効率液化水素ポンプが誕生した。これは、さまざまな分野での需要拡大が見込まれる。