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大気水生成の特許出願動向をアスタミューゼが分析 米国が首位

東京都千代田区に本社を置くアスタミューゼ株式会社(代表取締役社長 永井歩)は、空気中の水分を回収して利用する大気水生成技術の動向に関するレポートを公表した。同社が保有するデータベースから2015年以降に出願された関連特許約4,200件を抽出して分析したところ、国別の出願件数では米国が最も多く、韓国、中国、ドイツ、日本が続いた。

大気水生成の背景と省エネルギー化への取り組み

大気水生成とは、空気中の水分を回収し、飲料水や産業用水として利用する技術を指す。水蒸気を取り出す方法のほか、霧に含まれる微小な水滴を集める方法も含まれる。空気から水を得る試み自体は古くから存在し、網で霧を集める方法や、冷凍機で空気を冷やして結露させる装置が開発されてきたが、気象条件による影響や冷却に伴う電力消費の大きさが課題となっていた。

こうした課題に対応するため、少ないエネルギーで効率よく水を取り出す材料や装置の開発が進んでいる。代表例としてイスラエルのWatergen社による熱交換技術「GENius」があり、同社によると1kWhあたり最大6.2Lの水を生成できるとしている。同社の装置は米国やアラブ首長国連邦、ウズベキスタン、チリ、シエラレオネなど5大陸の国・地域に導入されている。

世界保健機関(World Health Organization:WHO)が2026年1月に公表した資料によると、世界では約21億人が安全に管理された飲料水を利用できていない。水源の確保が困難な乾燥地や離島、災害時の緊急給水、軍事・防災現場のほか、飲料工場や半導体工場、データセンタなどが自ら水源を確保する手段としても活用が期待されている。なお、今回の分析では除湿による凝縮水の回収や人工降雨は対象外とされている。

特許出願件数は米国が最多 官民で実用化を支援

アスタミューゼが抽出した特許約4,200件の帰属国別出願件数では米国が最も多く、2位の韓国の約4.5倍を記録した(特許は原則として出願から公開まで18カ月を要するため、直近年の集計値は参考値)。

米国では民間コンテストや政府による研究開発支援が行われている。2016年10月にはXPRIZE財団が賞金総額175万米ドルの「Water Abundance XPRIZE」を開始し、2018年10月に米国のSkysource / Skywater Allianceが基準を達成して150万米ドルの賞金を獲得した。2017年の米国の出願件数は前年の約1.7倍に増加しているが、コンテストとの因果関係は件数推移だけでは判断できないとしている。また、2019年12月には米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency:DARPA)が「Atmospheric Water Extraction(AWE)」プログラムを発表するなど、軍事用途を想定した省電力装置の開発支援も進められている。

吸着材や表面構造の工夫で高効率化を図る技術が進展

特許文献中のキーワード分析では、効率的な水分吸着が期待される金属有機構造体(Metal-Organic-Frameworks:MOF)のほか、「ハイドロゲル(hydrogel)」「高い吸湿性(super-hygroscopic)」「温度応答性(thermo-responsive)」といった材料関連の語が見られた。

エネルギー利用の面では「ゼロエネルギー消費型(zero-energy-consumption)」「光熱変換(photo-thermal)」が出現しており、太陽光や熱を利用して外部電力を抑える造水技術に関連すると考えられる。さらに「超疎水性(super-hydrophobic)」「超親水性(super-hydrophilic)」「生物模倣(bionic)」「カブトムシ(beetle)」「サボテン(cactus)」といった表面構造に関する語も確認でき、生物に学び濡れ性を制御して水滴を集める技術の開発がうかがえる。用途面では「車載型(vehicle-mounted)」や「灌漑不要(irrigation-free)」などの語が出現し、被災地での給水や砂漠の緑化への応用が示唆されている。

本記事はアスタミューゼ株式会社の発表をもとに作成。

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