富士通やKDDIなど12者、広域ワークロードシフトの実用化に向け共同実証を開始
株式会社MESH-Xや富士通株式会社、KDDI株式会社など12者は、マルチステークホルダー協調型広域ワークロードシフト実証コンソーシアムを形成し、2026年8月から「広域WLS」の実用化に向けた共同実証を開始しました。各者が有する技術やアセットを結集し、AI学習や推論に必要な計算資源の最適運用等を通じて、新たなAIインフラモデル「バーチャルハイパースケーラー」の実現を目指した技術面・運用面・事業面の実証を共同で行います。本実証は、2026年7月15日に総務省が推進する令和8年度「ワット・ビット連携関連実証」に関する実証事業の公募において採択された「高度なワークロードシフトの実現に向けた社会実証」の提案に基づいて実施されます。
実証実験の背景と複合リスクの回避
近年、AIの急速な普及に伴って計算基盤となるデータセンター(DC)の需要が急増しており、国内では都市部へのDC集中による電力供給の課題が深刻化しています。一方で、地域に偏在する再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大による出力制御の増加も課題となっています。

こうした状況が継続した場合、国内のAI計算需要を賄いきれず、海外クラウドサービスの利用が進むことで重要なデータが海外へ流出するリスクや、大規模災害時にデジタル社会を支える基幹サービスが停止するリスクが懸念されています。これらのリスクを回避するため、電力の需給状況や計算資源の稼働状況等を考慮し、国内に分散するDC間で計算処理(ワークロード)を動的に移動させるワークロードシフト(WLS)技術が不可欠とされています。
SINETや電力保安用光ファイバーを活用した検証内容
実証期間は2026年8月~2027年2月を予定しています。国立情報学研究所(NII)が運用する学術情報ネットワーク「SINET」と、東京電力パワーグリッド株式会社が保有する電力保安用の光ファイバー(ダークファイバ―)を利用して広域ネットワークを構築します。あわせて、一部区間のDC間をオール光ネットワークで直結する構成も検証します。
このネットワーク上に学術系・産業系のDC群を接続し、協調型広域WLSを実行可能な環境を整えます。WLSの実行時には、バーチャルハイパースケーラーの心臓部として機能するオーケストレーターが、電力需給や市場情報、GPU使用率、蓄電池の状態、ネットワーク状況等の情報を収集・分析してワークロードの配置を判断・制御します。社会実装に向け、全国の大学間で基礎を確立する基盤的実証から、再エネ・蓄電池との統合制御やオーケストレーション等の有効性を検証する発展的実証まで段階的に実施されます。
今後の展望と国際標準化への取り組み
本実証で得られた成果をもとに、DCの拠点数や参加事業者を増やして運用のさらなる拡張を進める方針です。複数事業者が相互に接続できるオープンな運用モデルや共通インターフェースの策定、社会実装に向けたビジネスモデルの設計、共通ルールとガバナンスの検討を行います。
将来的には、本取り組みを通じて確立した技術や運用モデルをオープンな仕様として国際標準化し、発展するエコシステムとして日本発の新たな社会インフラをグローバルに普及させていくことを目指しています。
本実証コンソーシアムの参画12者
マルチステークホルダー協調型広域WLS実証コンソーシアムを構成する12者の一覧は以下の通りです。
- 株式会社MESH-X(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:高野 雅晴)
- 株式会社NHKテクノロジーズ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:山口 太一)
- 国立大学法人九州大学(所在地:福岡県福岡市、総長:赤司 浩一)
- KDDI株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:松田 浩路)
- ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一)
- 株式会社東光高岳(本社:東京都江東区、代表取締役社長:一ノ瀬 貴士)
- 国立大学法人東京大学(所在地:東京都文京区、総長:藤井 輝夫)
- 東京電力パワーグリッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子 禎則)
- 東京電力ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小早川 智明)
- 富士通株式会社(本店:神奈川県川崎市、代表取締役社長:時田 隆仁)
- 国立大学法人北海道大学(所在地:北海道札幌市、総長:寳金 清博)
- モルゲンロット株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:中村 昌道)
本記事は富士通株式会社などの発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



