イベント業界の「常識」を打ち破る、多分野のプロフェッショナルが集結する『N3+』の挑戦

「イベント業界の“常識”を変えたい」。イベントの企画・制作・運営を手がける株式会社ハイエストクルーが、新たなジョイントベンチャーチーム『N3+』を発足させた。演出家、プロデューサー、エンジニアなど、異なる専門性を持つメンバーで構成される特異な組織だ。なぜこのような形態を選んだのか。同社代表取締役CEOでチームの“主催”を務める小島潤さんに話を聞いた。

イベント業界に新風を吹き込む

「イベント業界は、牙城を崩すのが難しい世界です」と、株式会社ハイエストクルー代表取締役CEOの小島さんは指摘する。長年の実績や関係性が重視され、新規参入の障壁は高い。29歳でイベントスタッフとしてこの業界に飛び込んだ小島さん。2014年に取締役として別会社に移籍し、2020年には子会社を立ち上げ。2023年、すべての株式を取得し、社名をハイエストクルーに改め、現在は代表取締役CEOとして舵を取る。

そして今回立ち上げたのが『N3+』だ。”No Name Needed(名前は必要ない)”という意味を込めたチーム名には、固定概念にとらわれないという決意が込められている。

互いの「世界」を掛け合わせる

『N3+』のメンバーは、小島さんとの仕事上のつながりから集まった。演出構成作家、プロデューサー、システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、イベントディレクターなど、計7名がチームのトップを務める。

「職種が違えば当然ながらそれぞれ見ている世界が全く異なります。この異なる世界観を擦り合わせて一つに集めたとき、どれだけのパワーが発揮できるのか? という疑問から生まれたが『N3+』です」

従来のイベント運営では、主催者から代理店、そこから各専門家へと仕事が振り分けられる。この構造では情報の伝達に時間がかかり、時には意図が正確に伝わらないこともある。一方『N3+』では、メンバー全員がプロジェクトチームとして初期段階から参画。「主催者とダイレクトにやり取りできるため、意思決定のスピードが全然違います」と小島さんは語る。

< N3+メンバー構成 >

     SECTION         所     属    POST   NAME  
    主 宰(株)ハイエストクルー               代表取締役CEO       小島 潤
        演 出(株)ゲート・クリエイティブ代表取締役TAKA
プロデューサー   izm代表井土 正大
エンジニアMG(株)アットマーク・ソリューション             代表取締役
CFO
松谷頼人
          AP(株)ゲート・クリエイティブ工藤友紀
アシスタントMG                 (株)East Ship代表取締役寺澤正史
運営ディレクター (株)ハイエストクルー 執行役員藤田大一郎   

実績とリソースの共有がもたらす相乗効果

さらに、小島さんが「シナジーパートナー」と呼ぶメンバーたちとは、互いの実績やリソースを共有できるのも強みだという。東京オートサロンや東京ゲームショーなど大規模イベントの運営実績は、チームメンバー全員の資産となる。「技術や人材だけでなく、実績も共有財産として活用できる。これにより、各メンバーの営業活動の幅も広がります」

チーム全体で実績を共有し、それぞれの強みを掛け合わせることで、これまで参入できなかった領域にも可能性が広がる。「お互いの実績を使いながら、掛け算で新しい領域を開拓していきたいんです」

イベントは「感情」を引き出すもの

定期的に開催される大規模イベントは、年々新しい技術が導入されるものの、基本的なフォーマットは変わらない。しかし小島さんは、そこに甘んじる気はない。

「収支やROI(投資回収率)も大切ですが、私たちが目指すのは『人の感情を最大限に引き出すこと』。イベントはただのブランディングやマーケティングのツールではない。感情を引き出すためのものとして、世の中にインパクトを与えていきたいですね」

また、請負事業だけでなく自社主催イベントの展開も視野に入れる。「価値を与え続けることが、結果として収益につながる」。そう語る小島さんの言葉からは、イベントの可能性への確かな手応えが感じられた。

異なる専門性を持つメンバーが集まり、新しい価値を生み出す。『N3+』の挑戦は、イベント業界に新たな風を吹き込もうとしている。

株式会社ハイエストクルー 公式サイト
https://highest-crew.co.jp

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