オンライン参列は「代替」ではない、結婚式の新しい選択肢として定着へ
コロナ禍をきっかけに広まったオンライン結婚式。当初は、感染対策として人が集まれない状況での「代替手段」として注目された。しかし、行動制限が解除された今でも需要は衰えていない。むしろ、新しい参列スタイルとして受け入れられ始めている。
株式会社エイトノットが提供するオンライン参列システム「SanLet’s」。導入施設では、結婚式を挙げるカップルの約7割が利用しているという。なぜ、コロナ後もオンライン参列は選ばれているのか。同社の担当者に話を聞いた。
「代替」から「プラスα」へ。オンライン参列の新しい価値
「コロナ禍の間、他に似たようなサービスを提供していました。でも、その多くが代替手段と見られていたため、現地参列が可能になってからは事業が成り立たなくなっています」
多くの事業者が撤退する中、SanLet’sが選ばれ続けている理由の一つは、そのビジネスモデルにある。
「他社は50,000円や100,000円といった高額な利用料を設定していました。体験したことのない新しいサービスに、高額な料金を支払うのは難しい。そこでSanLet’sでは、初期費用を無料にし、オンラインでいただいたご祝儀の30%をいただく形にしました」
オンラインでのご祝儀は現地参列時の30,000円より少なめで、平均10,000円程度。また、祝儀を払わない人もおり、それがダメではない文化が定着している。初期費用が無料のため、オンライン参列者からのご祝儀は、新郎新婦にとってマイナス収入とはならない。現地参列とオンライン参列を組み合わせることで、より多くの人に祝福してもらえる機会が生まれるのだ。
オンライン参列の認知と需要
オンライン参列の知名度は、結婚を考えているカップルの間では約51%。2人に1人が知っているという結果だ。同社が2024年に実施した調査によると、参列者の立場からも、状況に応じてオンライン参列を選択肢として考えていることが明らかになった。
片道3時間以上かかる式場や海外リゾートでの結婚式の場合、約30%の人が「オンラインで参列したい」と回答。これは「現地で参列したい」という回答を上回っている。
また、新郎新婦との関係性によっても、参列方法の希望は変わってくる。家族や親友は7割前後が「現地で参列したい」と答える一方、たまに会う友人やSNSでつながっている友人では「オンラインで参列したい」が2割を超え、現地参列の希望を上回った。
新しい祝福のかたち
「本当に親しい人とは直接会って祝福し合いたい。それは変わらないと思います。でも、遠方に住んでいて体力的に自信がないおじいちゃんおばあちゃんや、海外赴任中の友人、子育て中で遠出が難しい人など、今まで参列できなかった人たちも参加できるようになりました」
また、結婚式の少人数化が進む中、気軽に祝福の気持ちを伝える手段としても活用されているという。
「職場の同僚など、結婚式に呼ぶほどではないけれど、オンラインなら一緒に見て祝えるという声もあります。また、若い世代の中には、参列者への負担を考えて、あえてオンライン参列を選択肢として用意する人もいます」
現地での参列とオンライン参列。2つの選択肢があることで、新郎新婦も、参列者も、より自由に、より気軽に祝福を分かち合える。結婚式の新しい文化が定着しつつある。
「SanLet’s」公式サイト
https://sanlets.com