宇宙ステーション開発のオープンソース化、スペースデータが「Space Station OS」を公開
株式会社スペースデータは、宇宙ステーションのオープンプラットフォーム「Space Station OS」を公開した。「Space Station OS」は、世界中の技術者が協調して、宇宙ステーションの共同開発と利用を行うためのプラットフォームであり、宇宙ステーションの制御ソフトウェアとして、世界初のオープンソースとなる。
第一弾として、宇宙ステーションの開発に必要なソフトウェアおよびシミュレーション環境を、世界最大のソフトウェア開発プラットフォームであるGitHubにて公開した。GitHub上では、世界中の数百万人もの開発者と共同開発を進めることができ、国境を越えた技術協力が可能となる。
「Space Station OS」は、いわば「宇宙のOS」だ。コンピューター産業におけるWindowsのようなOSは、異なるハードウェアの差異を吸収し、共通の操作環境を提供することで、コンピューターの普及を促進し、インターネットという新たなインフラを生み出した。同様に、「Space Station OS」は、異なる企業や国が開発した宇宙ステーション間で共通に動作するソフトウェアを提供し、宇宙ステーションの開発や管理、運用を容易にする。これにより、誰もが宇宙ステーション事業に参加できる時代を開く。
「Space Station OS」は、ROS 2(Robot Operating System 2)を基盤として構築されている。ROS 2は、ロボット開発のためのオープンソースミドルウェアで、ソフトウェアライブラリ、通信プロトコル、開発ツールなど、ロボットアプリケーションに必要な多様なツールを提供している。ROS 2は、2023年には5億5千回を超えるダウンロード数を記録する等、世界最大のロボット開発者向けのオープンプラットフォームだ。
宇宙ステーションの開発は、ROSが普及する以前のロボット産業と類似した状況にある。現在は限られた専門家が独自に開発を進めているが、「Space Station OS」により、技術や知識の民主化が進み、世界規模での宇宙ステーションの共同開発が実現すると考えられている。
また、各機能をモジュール化し、パッケージ機能でそれらを統合することで、柔軟性と再利用性、拡張性を実現するROS 2を技術基盤し「Space Staion OS」を構築する。
近年のハードウェアの開発ではソフトウェア制御を前提とし、共通のハードウェア上でソフトウェアを頻繁にアップデートし、機能や顧客体験を向上させるソフトウェアディファインドとよばれるアプローチが注目を集めている。「Space Station OS」ではこうしたアプローチを宇宙ステーションの開発に導入し、柔軟かつ拡張性の高い製品や開発を実現する。
宇宙空間ではハードウェア交換が難しいため、ソフトウェアを通じて機能の追加や変更が可能になることで、宇宙ステーションの運用がより柔軟になる。「Space Staion OS」では、システムとして成立する最小の機能を提供すると共に、ソフトウェアやハードウェアの拡張性を許容するアーキテクチャを指向する。
また、標準化されたインターフェースを通じて、各国や企業が開発した機器が互換性を持ち、シームレスに連携できる環境を構築できる。これにより、宇宙ステーションの開発と運用が柔軟かつ持続可能なものとなり、将来の技術革新にも対応可能な基盤を提供する。