理研とセイコー、連携センターで本格研究を開始 自動化装置などを開発へ
セイコーグループ株式会社とセイコーフューチャークリエーション株式会社は、国立研究開発法人理化学研究所(理研)と共同で2026年4月に開設した「理研-セイコー連携センター(RIKEN-Seiko Collaboration Center:RSCC)」の研究環境の整備を完了し、本格的な研究開発を開始しました。理研の生命科学研究の知見と、セイコーグループが培ってきた精密制御や自動化、計測、画像解析などの技術を融合させ、バイオものづくりを支える次世代研究プラットフォームの開発を進めます。

研究現場の課題と次世代プラットフォームの開発

バイオものづくりは、微生物や細胞の働きを利用して医薬品、食品、化学品、素材などを生み出す技術です。研究開発では「設計(Design)」「作る(Build)」「試す(Test)」「学ぶ(Learn)」を繰り返すDBTLサイクルを速く確実に回すことが求められますが、培養条件の検討や微量試料の取り扱いには研究者の経験や手技が必要とされています。また、装置間の試料移送やデータ整理を人が担うケースもあり、人材不足や研究者の負担、実験結果のばらつき、データ活用の難しさが課題となっていました。
RSCCでは、個別の装置の自動化だけでなく、培養、検出、回収、分析、データ活用までをつなぐ研究基盤の構築を目指します。時計や精密機器の開発・製造で培った微小部品の加工・組み立て・計測・制御技術を生かし、現場のニーズに即した技術や製品の創出に取り組みます。

RSCCでは中核となる装置の開発が進められています。
自律型微生物培養装置「ACKNOS Microbial Shaker」は、温度管理、振とう、培養状態の測定、試薬添加などを自動で行い、培養中の状態変化を継続的に計測・記録する装置です。研究者の作業負担を減らし、実験結果のばらつきやコンタミネーションのリスク低減を図ります。蓄積データをもとにAIが培養条件を提案・制御する「自律型培養」の実現を目指しており、現在はPoC(概念実証)機を用いた評価を進めており、2027年4月の発売を予定しています。


自律型高精度ピッキング装置「FARIOS」は、100万個の候補の中から有望な細胞や分子を高速に検出し、目的のサンプルを高精度に回収して分析工程へつなげる装置です。検出から回収、移載、分析までの一連の工程の自動化を目指し、抗体スクリーニングやシングルセル解析、創薬研究などのスピードと精度向上を支援します。こちらは2028年の発売に向けて開発・実証が進められています。
全工程を連携・管理する「自律型実験システム」の構築

研究現場では装置ごとにデータが分散しやすい課題があることから、RSCCでは実験計画から試料調製、培養、検出、分析、データ解析までを一連の流れとして連携・管理する「自律型実験システム」の構築を進めています。
実験条件、測定結果、操作履歴を一元管理することで再現性とトレーサビリティの向上を図り、将来的には蓄積データを活用してAIが次の実験条件を提案する「自律型ラボ」の実現を目指します。
理研-セイコー連携センター(RSCC)の概要
- 名称:理研-セイコー連携センター(RSCC)
- 所在地:理化学研究所 開拓研究所(埼玉県和光市広沢2-1)
- 連携センター長:渡邉 力也(理化学研究所 開拓研究所 渡邉分子生理学研究室 主任研究員)
- 公式サイト:https://rscc.riken.jp/
本記事はセイコーグループ株式会社およびセイコーフューチャークリエーション株式会社の発表をもとに作成しました。RSCCの取り組みに関する詳細は、セイコー サステナブル・ストーリー「なぜ時計のセイコーが微生物を?理研と挑むバイオものづくり」(https://www.seiko.co.jp/csr/magazine/article/00073.html)でも紹介されています。
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